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ポルトガルへの事例は日本の今後の参考に

 6日にポルトガルのソクラテス首相はテレビ演説において、ポルトガル政府が欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会に金融支援を要請することを決めたと述べた。支援要請はこれにより、ギリシャとアイルランドに次いで3か国目となる。

 3月23日に議会が予算削減案を拒否したことで、ソクラテス首相は辞表を提出したが、 その後のポルトガル国債の利回りは上昇し、10年債利回りは6日に8.8%近辺に上昇していた。

 日経新聞によると、欧州メディアはポルトガルの大手銀行が自国の国債購入を停止する可能性を示し、ソクラテス首相率いる暫定政権に対して6月5日の総選挙を待たずに短期資金確保の道を探るよう求めたそうである。

 日本と同様にポルトガルも国内の大手銀行が国債の最大の買い手であったが、保有額の増加に対して利回りの急上昇による価格下落により、追加購入が困難となり、政府に対して最後通牒を突きつけた格好となった。 また、ロイターによるとECBからの資金調達に過度に依存するようになったポルトガルの国内銀行に対して、ECBがポルトガル国債に対するエクスポージャーを減らすよう指示していたことが明らかになった。

 銀行が国債を購入しなくなれば、国内の年金基金や海外投資家に頼らざるを得なくなる。しかし、今後の国債発行を考慮すれば、銀行が買わないとなれば消化が困難となることが想定されるため、ソクラテス首相は欧州委員会への支援要請を決断したとみられる。

 このポルトガルの事例は、いずれ日本でも同様のことが起きる可能性もあるため、しっかりと記憶しておく必要がある。

 たとえば、スウェーデンにもひとつの事例がある。スウェーデンでは1990年代に景気後退とともに財政赤字が急増し、1994年7月に国内最大の生命保険会社であるスカンディアが「信頼できる財政再建計画ができるまで、国債の購入を停止する」と表明した。これにより長期金利が7.0%近辺から11%台に急上昇し、スウェーデン国債はデフォルトの危機に陥ったのである。これをきっかけに財政再建の必要性を国民が意識し、政府は増税と社会保険料の引上げ等の財政構造改革を行い、危機を脱出できたのである。国債を大量に保有する大手投資家が警告を発したことで、財政再建が進んだひとつの例である。

 ポルトガルの場合は銀行(その裏にECBがいた)が結果的に警告を発した結果、政府が動いた格好ではあるが、いずれにせよ投資家の行動が政府を後押ししたことに違いはない。

 日本においても、いずれ国内資金で国債が賄えなくなることが想定される。その際にはその危機が訪れる前に、スウェーデンのように大手投資家が警告を発してくるのか、それとも長期金利が2%の壁を大きく超えて上昇し、大量に国債を保有する銀行が価格下落に耐えられなくなり、ポルトガル同様に政府に対して最後通牒を突きつけてくるのかはわからない。しかし、そうした投資家の行動により、日本の債務危機が本当の意味で意識され、本格的な財政構造改革が進むことも考えられる。

 その前に日銀による国債引受が検討される可能性がある。しかし、過去のデフォルトに陥りそうになった国の事例を見ても、中央銀行による国債引受という選択肢をとった例はほとんどない。1997年の韓国においても、デフォルト寸前の状況にまで追い込まれたが、その際には中央銀行による国債引受という選択ではなく、IMFへの支援を求めている。

 日本でもし国内資金で国債が賄えなくなった際に、日銀による国債引受が開始されるとなれば、事態は改善されるどころか、さらに悪化することになる。そのような最悪の選択肢を選ぶ前に、投資家などからの警告により、国民に財政再建の必要性を強く意識させる必要があるのではないかと思う。


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by nihonkokusai | 2011-04-08 08:27 | 国債 | Comments(0)
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