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FRBや日銀による国債売却は可能か

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、量的緩和第二弾(QE2)として、2011年6月末までに6000億ドルの国債買入れを行う予定である。ここにきて、米国の景気回復などを背景に、規模を縮小すべきとの意見も出てくるなど、FRBは出口(超金融緩和政策の終了)を意識した動きを見せつつある。

 しかし、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が、国債買い入れプログラムを完全に実施しなかった場合は驚きに値すると述べたことで、よほど米景気の回復基調や物価上昇圧力が強まらない限り、QE2は予定通り実施されると思われる。

 問題はむしろその後である。すでにQE2の早期終了まで言及されている状況下、7月以降もFRBが米国債を買い入れるというQE3の可能性はかなり低くなっている。もしFRBによる国債買入れが停止された際に、米国市場に与えるショックがどの程度のものであるのか注目したい。

 2010年3月にイングランド銀行が国債買入れを停止したが、それによる英国債への影響はそれほど大きなものではなかった。FRBもあくまで国債買入れは一時的な措置であるとの認識が市場で働いていれば、その影響は英国同様にさほど大きくはないのかもしれない。

 それでは日銀についてはどうであろう。日銀は資金供給手段として国債の買入れを行っており、2001年3月からの量的緩和政策導入後、段階的に買入れ額を増加させ、現在、日銀券ルールに縛りがあるもので毎月1.8兆円の国債買入れを行っており、またそれとは別枠で基金オペにより長期国債を、2兆円を限度とした買入れを行なっている。

 日銀の国債買入れを見てみると、量的緩和政策導入後は買入れ額を増やすことはあっても、それを減らすことはなかった。2006年3月の量的緩和政策の解除、7月のゼロ金利政策の解除、2007年2月の利上げの際にも国債買入れ額を減額することはなかったのである。

 つまり日本では債務残高が膨張する中にあり、大量の国債を消化するにあたり日銀による国債買入れは安定消化分として組み入れられてしまっていると考えられ、金融政策の変更等に関わらず、それを減額することは市場に大きな影響を与え兼ねないとみられている。

 日本では日銀の買入れそのものを停止することそのものが、ほぼ不可能な状態にある。仮にデフレが解消されても、国債発行額を大きく抑制出来ない限りはこの状態は続くものと考えられる。買入れそのものを減額できない以上、さらに進んで日銀による国債の売りオペは技術的には可能ではあるが、まずできるわけはないというのが現在の状況である。

 日本と米国では国債を巡る環境は異なり、少なくとも6月末での国債買入れ停止は米国では可能かもしれない。さらに今後はFRBが保有する米国債の売却も検討される可能性がある。これまでの日銀の動きを見てきたものとして、FRBによる国債売却などとても無理と思っていたが、景気や物価の状況次第ではそれも可能にしてしまうのであろうか。欧米の中央銀行は、リーマン・ショックなどにより、臨時の措置として日銀と同様に国債買入れを行ってきたが、結局、それを最後まで続けるのは日銀だけという状況になってしまうのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2011-04-06 08:28 | 国債
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