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一連の日銀による国債引受関係の報道に関して

 4月3日付の日経新聞によると、政府・与党では、復興に向けた基本法案の策定や、2011年度補正予算の編成に向けた政府・与党の作業が今週から本格化すると伝えている。

 民主党では岡田幹事長が委員長を務める復旧・復興検討委員会の下、特別立法、歳出見直し、復興ビジョン、補正予算の4つの検討チームを設置し、東日本大震災の復旧・復興に向けた基本法案の策定などの作業を進めているそうである。

 問題は中川正春座長の特別立法チームがまとめた基本法案の素案(A4で11ページ)であり、この中に震災国債や復旧復興特別税の創設、日銀引き受けの検討などが盛り込まれていたようである。

 3月18日付の産経新聞では、東日本大震災を受け、政府は、復旧・復興のための補正予算編成に向け、主要財源として日銀が全額を直接引き受ける震災復興国債を緊急発行する方針を固めた。複数の政府筋が明らかにした、と伝えた。

 また、31日の日経の記事では、政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が明らかになり、復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出したとあった。

 さらに4月1日には遅れて毎日新聞が、「東日本大震災の復旧・復興対策事業費の財源確保策として、民主党内で復興税の導入や、国が発行する震災国債を日銀に直接引き受けさせる案が浮上している。」とある。

 3月31日の債券市場では、可能性は薄いとしながらも、この日銀による国債引受の可能性も懸念されて先物主導に売りが入るなど影響が出た。

 日銀の国債引受の是非について、私はこのコラムで何度か指摘してきたように、国債市場を長く見てきたものとして反対である。

 それよりも、これら一連の報道の姿勢についてやや問題がある。1日の毎日では「民主党内」としているが、18日の産経などでは「政府」としている点にある。この場合の政府との言葉は、報道用語等の使い方に詳しくない私を含めての市場関係者にとり、菅政権がその案を真剣に検討していると受取ってしまう。

 しかし、現実には日経が3日に報じたように、政府に上がる以前の党内の検討委員会、しかもその素案に盛り込まれていたに過ぎないものであった。それを政府との用語を使うことに問題はなかったのであろうか。確かに政府の案のための下地ではあろうが、それを政府が真剣に検討しているかのような報道はかなり違和感を感じる。

 実際に政府中枢にいるはずの枝野官房長官や野田財務相が「政府が検討している事実はない」と否定している。さらに基本法案の取りまとめをする立場にある岡田幹事長も、震災国債の日銀引き受け案について、「国債の増発は免れないが、反対だ」と否定的な見解を示し、その上で「日銀に引き受けさせることは、財政規律を失わせることになる。そういう議論をすること自体が、日本の国債に対する不信感を高めることになりかねない」と強調した(3日の産経)。

 これはいったいどういうことであろうか。政府は検討どころか真っ向から、日銀による国債引受反対の意思を表明しているのである。たしかに民主党の一部議員などから、日銀による国債引受を検討すべきとの意見があり、それを素案に盛り込ませたことが想像される。しかし、その素案の内容をこのように大きく取り上げて、しかも政府案かのように取り扱ったことには問題はないのであろうか。

 岡田幹事長の鶴の一声で、今回の日銀による国債引受論議は収拾しそうだが、市場での不信感は残る。相場は市場参加者のマインドにより大きく左右される。とくに日本国債への信認そのものを喪失させる可能性のある日銀による国債引受のような記事は、かなり慎重に取り扱う必要がある。この点についてマスコミ関係者も十分配慮していただきたいと思う。


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by nihonkokusai | 2011-04-04 16:39 | 国債 | Comments(0)
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