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須田美矢子日銀審議委員が任期満了

 3月31日で日銀の須田美矢子審議委員が任期満了となった。後任は慶応義塾大学白井早由里氏。須田美矢子氏が日銀の審議委員となったのは2001年4月1日であり、2006年に再任され、合計10年間審議委員を務めたことになる。

 2001年3月に日銀は量的緩和政策を行なっている。過去の中央銀行で例のないような金融政策を行ない初めてまもなくの就任であった。2001年の9月には同時多発テロがあった。須田氏は日銀の審議委員として、9・11とともに今回の3月11日の東日本大震災も経験したことになる。

 その後、2006年3月に日銀は量的緩和政策を解除し、7月にはゼロ金利政策も解除した。ところが2008年のリーマン・ショックなどによる金融危機を受けて、10月と12月に利下げを行ない、2009年1月に企業金融支援特別オペレーションを開始、12月に新型オペを導入、2010年3月と8月に新型オペの拡充を行ない、10月には包括緩和を実施している。

 日銀金融政策決定会合の議事要旨を追ってみると、須田委員は2006年7月のゼロ金利解除を決定した際に、ゼロ金利解除そのものは賛成したが、基準割引率および基準貸付利率の変更に関する議案については、政策金利である無担保コールレートと補完貸付の適用金利とのスプレッドをある程度拡大すべきとして、水野委員や野田委員とともに反対した。

 2007年1月の会合では政策金利0.25%の据え置きとの議長案に対し、0.5%へ利上げすべきとして、やはり水野委員や野田委員とともに反対した。そして2月の会合では0.5%への追加利上げが決定されている。この際には岩田副総裁が反対票を投じた。

 2008年10月の0.5%から0.3%への利下げに際しては、利下げ幅を巡り水野委員、中村委員と亀崎委員とともに議長案に反対した。票決は4対4と真っ二つに別れ可否同数となったため議長が決するという異例の事態となった。

 2009年1月の会合では、「企業金融に係る金融商品の買入れについて」の決定に対して 社債の買入れは時期尚早として反対している。

 2010年3月には新型オペの拡充策に対して、追加の緩和措置を講じる明確な理由が見当 たらないとして野田委員とともに議長案に反対している。8月には期間6か月物の固定金利オペを新たに導入することに対し、為替対策と受け取られかねないことなどを理由に反対した。

 10月の包括緩和政策の決定に際しては、国債の買入れが財政ファイナンスとの誤解を生みかねないことなどを理由に買入資産に国債を加えることに反対した。また、この際には「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)にも異例の反対票を投じている。これは、物価の先行きを慎重にみていることや、消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要と考えていることが理由であった。

 議長案に反対するということは、ある意味リスクを負うことになる。もちろん賛成票を投じることもリスクは負うことにはなるが、少数派として反対票を投じたことは記録に残り、それが適格な判断であったのかどうか判断されることになる。それだけにある意味、勇気ある行動でもある。

 常に議長案に賛成するというのであれば、そもそも委員会制度をとっている金融政策決定会合の意味を無くするものでもある。それぞれ専門分野を持ち、それに基づいて自らの意見を出すことも重要である。10年間の任期の中で、政策が大きく変わるタイミングで何度も反対票を投じた須田委員の行動は、決定会合がスリーピングボードではないことを示すものでもあった。少数意見が存在することにより、金融政策決定会合における討議のプロセスがより明確化され、それは金融政策の透明性も高めることにもなる。後任の白井氏にも自らの意見と異なるときには、ぜひ反対票を投じていただきたいと思う。


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by nihonkokusai | 2011-04-01 08:35 | 日銀 | Comments(0)
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