白井さゆり氏の日本国債の国際化に関する記述
白井早由里氏は慶應義塾大学総合政策学部の教授で、白井さゆりさんの名前で本なども書かれているが、元IMFのエコノミストで、ご本人のサイトによると専門は国際経済、マクロ経済、アジア経済とある。
市場参加者がまず注目するのは、いわゆるタカ派なのかハト派なのかという点であるが、過去の論文などを、ざっと拝見してもはっきりしない。想像するに当面は中立的な立場をとり、執行部と歩調をあわせるのではなかろうか。
白井さゆりさんのサイト(http://www.paw.hi-ho.ne.jp/~sshirai/srij_main.html)には過去の論文やコラムもアップされている。その中の「世界金融危機とG20金融サミットをめぐる経済外交」というワーキングペーパーにおいて、次のような記述があった。
「日本国債は米国につぐ規模の市場をもっており、流動性も比較的高い。明確な将来の財政再建計画を提示し日本国債への信用を確保しつつ、日本国債の外貨準備資産としての国際化も真剣に検討していくべきである」
日銀の審議委員はあくまで日銀の金融政策等にかかわる仕事であり、日本国債の発行等に直接関わるわけではない。しかし、審議委員となれば言動に注目が集まり、講演などの内容がマスコミで報じられることも多いなど注目度はより高くなる。
その際に是非、日本国債の国際化についても積極的に提言してほしいと思う。日本国債についてはその95%を国内資金で賄われているということで安定消化されているが、今後はこれが大きなウイークポイントになりうる。つまり、国内資金で賄えなくなった際には、利払い負担の増加で財政をさらに悪化させることや、日銀引受などにより日本国債や円の信用度を低下させる懸念がある。
それを防ぐためには国債発行額そのものを抑えるとともに、新たな買い手を見つけることも重要である。財務省もIR活動を行なっているが、なかなか海外投資家のシェアは伸びていない。長期金利の上昇を抑えながらも、海外の日本国債保有を増加させ、日本国債の国際化を可能にする何かしらの手立てが模索できないものか。そのあたりについても白井氏の提言等に期待したい。
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