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日本の民主党議員がルービン回顧録に傍線をつけた箇所とは

 3月2日付の日経新聞一面の「予算案修正か補正不可避」との記事中に、日本の民主党議員の間で、クリントン政権下で財務長官を務めたロバート・ルービン氏の回顧録が広く読まれているとあった。さらに議員が傍線をつけて読んだ箇所があるそうである。

 2月23日のこのコラムで、もし新年度入りしても特例公債法案の成立の目処がまったく立たないような状況に追い込まれた際には、どのような状況に陥るのか、クリントン政権時の米国がひとつの事例として参考になるかもしれないと書いた。

 私も当時の様子が知りたいと実は関連の文献を探していたのだが、なかなか見当たらず、この本ならば記述がありそうと目星をつけたのが「ルービン回顧録」であった。ただし、本体価格が3200円と高価であり、古書店を探したが見つからず、結局、少し日にちをおいてから、アマゾンで定価で購入した。痛い出費であった。

 それはさておき、「ルービン回顧録」のどのあたりの部分に民主党議員も注目したのかを今回は探ってみたい、その前に23日のコラムにも書いたが、当時の様子を簡単に見てみたい。

 「1995年、クリントン政権と野党共和党の対立は激しくなり、その結果、米国での新年度開始の10月になっても予算案が可決できなかった。このため政府職員を一時帰休させ政府機関を数週間閉鎖するなど、政府が11月と12月に二度機能停止に追い込まれる事態となったのである。この際に悪役となってしまったのが、共和党のギングリッチ議長であるが、議長は徹底した歳出削減で均衡財政を目指そうとしたことで、クリントン政権も結局、それに歩み寄り歳出削減と一定の減税がはかられ、その後の財政再建に繋がる。」

 「ルービン回顧録」(日本経済新聞社刊)によると、1996年1月末には、ついに借金のあてがなくなり、3月1日に社会保障年金受給者と退役軍人に対する30億ドルの給付が滞る見込みとなった。しかし、これを前に政府のデフォルトは退職者にも契約業者や債務保有者にとり良いことではないとの声が共和党支持層からも出てきた。そこに格付け会社ムーディーズによる米国債の格下げ警告があり、デフォルトのもたらす懸念が強まったのである。

 「より重要な勝因は、政治と世論の流れの変化かもしれない」とルービン氏は記述している。

 「11月と12月の政府機能停止が非常な不評を買ったあと、デフォルトを招く政治戦略は非難の的となり、ほとんどの人がこの件から手を引いた」、そして「マスコミもデフォルトが招く結果のほうに注目を向けるように成り、事態をより批判的に報道し始めた。ある時点で、反対勢力は争いを放棄し、段階的に譲歩して、ついに債務枠の拡大を認めた。」(「ルービン回顧録」より引用)。

 日本の民主党議員が線を引いた箇所はこのあたりではないかと想像される。2011年度予算は1日ではなくどうやら2日に参院が受け取ったようだが、いずれにせよ年度内成立は確定的だが、特例公債法案を含めての予算関連法案成立の目処はたっていない。むしろ与野党の攻防は激しくなるばかりである。

 果たして日本でも民主党議員がルービン回顧録を読んで期待したように、政府閉鎖が起きるようなことになり、デフォルトの心配が出てくれば、国民からの自民党など野党への反発が強まり、特例公債法案の成立を可能にするのであろうか。

 しかし、ルービン回顧録で学ぶべきものはそのような箇所ではないはずである。クリントン政権が行った財政赤字削減や財政均衡こそ見習うべきところではなかろうか。クリントン政権下での財政再建は景気回復などがあり、タイミングが良かったからとの見方もあるかもしれない、しかし、そのタイミングを活かせたのも財政再建に向けた強い信念があったればこそである。


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by nihonkokusai | 2011-03-05 08:33 | 国債 | Comments(0)
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