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インフレ目標には財政規律もセット、イギリスの事例

 1997年5月にイギリスではブレア政権が誕生し、ブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切った。

 ブレア政権によるイングランド銀行の改革により、イングランド銀行総裁、副総裁、理事、外部らの委員で構成される金融政策委員会へ政策運営権限が委譲され、外国為替市場介入権限を部分的にイングランド銀行へ委譲され、準備預金制度の法制化、銀行監督権限をイングランド銀行から分離し、新設された金融サービス機構(FSA)へ移管し、そして国債管理業務は財務省へ移管されたのである。

 金融政策に関しては、インフレーション目標の土台が築かれた。インフレーション目標は政府が設定し、イングランド銀行はこれを達成するために必要な政策手段を決定するという役割となった。また、量的緩和策の導入やその拡大にあたっても財務相の了承が必要となっている。

 しかし、この改革の際には「財政安定化規律」がセットとして設けられていることに注意したい。1980年代後半から90年代前半にかけてのイギリスでは財政赤字の拡大、公的債務の累増が生じた。こうした状況に陥った最大の要因は、明確で透明性の高い財政政策の目標がなかったことにあった。このためブレア政権下において、1998年に財政安定化規律(The Code for Fiscal Stability)が議会の承認を経て制定されたのである。

 ちなみにイングランド銀行による国債の引受は明示的には禁止されていないが、実施されていない。同じ欧州のドイツやフランスなどはマーストリヒト条約により中央銀行による国債の直接引受は禁じられている。言うまでもなく日本でも財政法により日銀の国債引き受けは禁じられている。

 民主党の一部議員やみんなの党あたりから、日銀法改正を求める動きがある。そのなかには、インフレーション目標とともに日銀による国債の直接引き受けを議論すべきとの声も出ているようだ。

 しかし、もし日本でもイギリスのようにインフレーション目標を導入するとするならば、ブレア政権下で行ったように規律の高い財政ルールもセットにしなければならない。財政規律を重んじた上でこそインフレ目標導入の意味があり、インフレーション目標と財政規律を脅かすような国債の直接引き受けのセットなどが許されるはずもない。

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by nihonkokusai | 2011-03-03 08:40 | 日銀 | Comments(0)
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