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財政健全化に関する白川日銀総裁のコメント

 15日の金融政策決定会合後に行われた日銀の白川総裁の会見内容が、日銀のサイトにアップされた。この中の日本の財政健全化についてのコメント部分を中心に見てみたい。

 白川総裁はまず、日本の一般政府の債務残高が対名目GDP比率約200%と高いところにいることを指摘したが、「このグロスの数値は多少ミスリーディングな面もあり」として、金融資産を差し引いた純債務残高でのGDP対比約120%という数字を出している。

 OECDなどの国際機関が発表している各国の債務残高の対名目GDP比率については、総債務残高に対するものに加えて、政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高での数値も出している。

 ただし、純債務残高に関して財務省は「純債務残高で債務残高を比較する場合、政府の金融資産の過半は将来の社会保障給付を賄う積立金であり、すぐに取り崩して債務の償還や利払費の財源とすることができないこと等に留意する必要があります。」としている(財務省資料「財政事情の国際比較」の中の注釈)。

 どちらの数値が適切なのかというよりも、そもそもその国の債務状態を他の国と比較する際に、債務残高の対名目GDP比率で良いのかどうかという問題もある。あくまでこれは参考値としての認識の方が良い数値である。

 いずれにせよ非常に高いことには変わりがない。そして総裁は「将来の財政の持続可能性に対する信認が低下」すると、「金融市場の動揺を通じて実体経済も下押しされ、財政、金融システム、それから実体経済の間でマイナスの相乗作用が生じる」可能性を指摘した。かなり柔らかな表現ながら、大きなショックが起きることは確かである。

 それを防ぐためには、総裁はまず日本経済の成長力の引き上げが必要であるとしている。ただし、「財政バランスの改善は、インフレによる名目成長率の上昇によって達成される課題ではありません」とも釘をさしている。「重要なことは、実質成長率の引き上げを実現していくこと」としているが、そのための具体的な方法については述べていない。

 総裁はもうひとつ重要なこととして、「財政バランスの改善は、実質的に歳出を減らし、あるいは歳入を増やす改革」をあげている。二番目ながらも政府が財政再建策をすすめることの重要性をあげている。

 さらに、「財政問題に対する関心が高まる中にあっては、今申し上げた財政規律の確保に向けた努力と並んで、日本銀行が物価安定のもとでの持続的経済成長を目指して金融政策を行っていることに対する市場の信認を確保することが重要であること」を付け加えている。

 広義での国債管理政策は財務省ばかりの仕事ではない。政府や日銀なども一体となって日本国債の信認を維持させ、安定的な国債発行を可能にしなければならない。その意味で日銀の金融政策も大きな関わりを持つ。しかし、国債の需給に直接関与したりすれば、むしろ信認低下に繋がりかねない。このあたりのバランスの取り方も難しい問題である。

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by nihonkokusai | 2011-02-18 10:10 | 日銀 | Comments(0)
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