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景気回復と財政再建と金利のバランス

 2月14日に発表された日本の2010年10~12月期の実質国内総生産の速報値は前期比年率マイナス1.1%となった。予想のマイナス2%近辺ほど悪くはなかったものの、これによる市場への影響はあまりなかった。むしろ、今年1~3月期での回復期待が強まっており、日経新聞によると前期比年率プラス1.8%近辺の予想となっているようである。

 日米ともに景気の回復期待などを背景に長期金利は上昇傾向となっており、米10年債利回りは一時3.77%に上昇し、日本の10年債利回りも1.35%に上昇する場面があった。

 ただし、バーナンキFRB議長は米国の景気回復は力強さを増している兆しが出ているものの、失業率は依然として高過ぎるとの認識を示すなど、警戒心を緩めていない。日銀も今回の決定会合で景気の総括判断を上方修正させたが、これを前回は見送るなどやはり慎重姿勢と取れなくもない。

 バーナンキ議長は9日の下院予算委員会での証言において、景気の回復がぜい弱な局面で一気に歳出を削減すれば、景気回復を脅かす恐れがあるとの認識を示した。長期的な財政健全化は必要としながらも、政府支出を急激に削減すれば、雇用が上向き始めたばかりの国内経済を危険にさらす恐れがあると発言している。

 これに対して、オバマ大統領は提出する予算教書において、政策的な経費の伸びを5年間、凍結する方針を示した。これは米国の財政赤字が過去最悪となっているためである。2011年度の財政赤字は約1兆6500億ドルに達し、2012年度も約1兆1000億円に達することで、米財政赤字は4年連続の1兆円超となる。このためオバマ大統領は、一部の歳出をカットし、今後10年間で1兆1000億ドルの財政赤字を削減するとしたのである。

 しかし、米国の財政状態は日本ほど悪化しておらず、財政再建を進めるにはある程度期間を置くにしてもその方向性を示しておけば信認は維持される。このため、景気悪化を招くような緊縮財政は取るべきでないとするのが、バーナンキ議長の考え方なのであろうか。FRBの金融政策も同様の認識で行うとすれば、現在の超緩和策を長期間維持するとの考え方であるとも伺える。また、財政再建に時間をかける必要があるとするならば、FRBによる側面支援の継続も視野に入り、6月末までの国債買入の延長の可能性も強まろう。

 日本では残念ながら、危機的な債務状態にありながら、大幅な歳出削減計画などはない。財政再建に向けた増税についても掛け声止まりとなっている。財政への危機感は日本に比べて米国や英国の方がより強いように感じられる。これは日本が政府債務を国民がカバーしているという特殊事情も影響しているのかもしれないが、上辺だけではない本当の危機意識が欠如しているようにも感じられる。

 景気回復は財政健全化に向けて税収増などから当然ながらプラス要因となる。このため、財政再建にはこの景気への配慮も必要であろう。ただし、この景気回復や物価上昇は金利の上昇要因ともなり、金利の上昇は債務が大きければ大きいほど、さらに債務を悪化させかねない。

 つまり日米の中央銀行にとり、景気・物価だけでなく財政の動向も金融政策に大きな影響を与えうる。景気回復と財政再建と金利のバランスを考慮して導きだされる結論とすれば、FRBも日銀もすでに出口政策には積極的には踏み込めない状況に追い込まれているということであろうか。


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by nihonkokusai | 2011-02-16 08:39 | 日銀 | Comments(0)
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