牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

米雇用統計を受けて日米の長期金利は上昇局面入りか

 米労働省が4日に発表した1月の雇用統計によると、失業率(季節調整値)は9.0%となり、前月に比べて0.4%の改善となった。これは2009年4月以来の低水準となり、市場予測の平均9.5%(日経調べ)を大きく下回った

 また、非農業部門の雇用者数は前月比3.6万人増となり、こちらは市場予測の平均14.8万人(日経調べ)を大きく下回った。また、11月の数値が7.1万人増から9.3万人増に、12月の数値が10.3万人増から12.1万人増にそれぞれ過去の数値が上方修正されている。

 失業率の低下については、労働参加率の低下、つまり職探しを諦めているなどの人が増えていることも一因であり、特に今回は大雪などの影響で就職活動を休止した人も多かったのではとの推測もある。ただし、就業者比率の上昇による影響もあり、労働参加率の低下だけが要因ではないようだ。

 非農業部門の雇用者数が予想ほど増加しなかった背景にも、大雪の影響が出ていた可能性がある。建設や運輸倉庫といったセクターでの雇用が大幅に減っていることなどからそれを指摘する見方もある。製造工業は1998年8月以来の大幅な増加となっていることから、製造業中心の景気回復が雇用に波及しつつあることも示唆された格好となっている。

 今回の雇用統計については大雪などの影響が加味されているとみられ、受け取り方は難しい面もあるが、製造業主体に雇用が緩やかながらも改善していることを示す内容であった。バーナンキFRB議長による「近いうちに雇用者数の増加や失業率の低下をみることができるだろう」との発言通りの内容と言えそうである。

 この雇用統計の数値は米債への売り材料となり、4日の米国債券相場は5日続落となった。米10年債利回りは3.64%近辺に上昇し、一時3.66%と昨年5月4日以来の水準をつける場面があった。また2年債利回りは0.76%近辺に、30年債利回りは4.74%近辺にそれぞれ上昇した(ブルームバーグ)。

 これにより、米長期金利は今年に入ってから続いていたレンジ相場を上抜けた格好となった。今回の雇用統計はあくまでひとつのきっかけであり、今回の米国の長期金利上昇の背景には、1月の米ISM製造業景気指数の改善などを受けた景気回復への期待、さらに原油などの商品市況の上昇などを背景としたインフレ懸念などがある。

 さすがにFRBによる利上げまでは織り込めないものの、6月末までとなっているFRBによる国債買入がここで停止される可能性も出てくるとみられ、国債需給への懸念が出てきてもおかしくはない。8日から10日にかけて総額720億ドルの3年と10年、30年債の入札も予定されており、これも懸念材料とされる可能性がある。

 日本の債券市場はここにきて米債の影響を非常に受けやすくなっており、日本の長期金利ももみ合いから上放れて再び上昇局面入りする可能性が高まった。すでに4日の東京市場では長期金利は一時1.285%に上昇しており、今年に入ってからのレンジ相場を抜けつつある。その動きが7日以降、本格化する可能性がある。日本の長期金利での1.3%は通過点となる可能性が出てきた。

 4日の米国株式市場ではダウは29ドル高としっかり。また、外為市場では米長期金利の上昇などからドルが買われ、ドル円は82円台を回復するなど円高の動きも一服している。これらは週明けの東京株式市場にとり好材料視されるとみられ、債券市場にとりこれも上値を抑える要因となりうる。

 ただし、このまま日米の長期金利が大きく跳ね上がることは考えづらい。あくまで膠着相場から脱して、あらたな居所を探る展開となることが予想されることで、今回の日米の長期金利の上昇に対し、それほど懸念する必要はないと見ている。債券の投資家にとっても、絶好の押し目買いのチャンスとなるのではなかろうか。

 そうはいっても気をつけなければいけないのは、財政問題がこの金利上昇に拍車をかけるリスクである。市場では金利上昇への警戒心が高まることで、悪材料には敏感になりつつある。そんな中、来年度予算案の審議などをしっかり進めて行かなければ、長期金利の上昇が加速されるリスクがあろう。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

「牛さん熊さんの本日の債券」を10月1日からメルマガで配信しております。
登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。
価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-02-05 09:27 | 債券市場 | Comments(1)
Commented by 履歴書の書き方の見本 at 2011-02-25 14:52 x
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー