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去年はギリシャ、今年はエジプト、いずれ日本も

 昨年、世界の金融市場を揺るがしたのがギリシャ・ショックである。昨年1月に欧州委員会がギリシャの財政に関して統計上の不備を指摘し、ギリシャの財政状況の悪化が表面化した。ギリシャは2009年10月に政権交代が行われたが、パパンドレウ新政権に変わったことにより前政権が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになったのである。これを受けて格付け会社は、相次いでギリシャ国債の格付けを引き下げ、ギリシャ国債は暴落したのである。

 昨年のギリシャ危機が生じたのは、その債務そのものの大きさよりも、政府がそれを隠蔽していたことで政府そのものへの信認が失墜したことが大きかったと言える。しかし、市場はギリシャの財政問題をクローズアップしたことにより、同様に債務状態が悪化しているポルトガルやスペインなどにも飛び火した。

 そして、今年もまた年初から世界を揺るがすようなショックが生じた。昨年10月にチュニジア国内で騒乱が発生し、23年間の長期政権を維持してきたベン・アリー大統領が国外に脱出するという事態が発生した。これはジャスミン革命とも呼ばれたが、これがエジプトに波及したのである。エジプトはムバラク大統領が29年もの長期政権を維持しているが、そのムバラク大統領は9月の次期大統領選には出馬しない意向を明らかにした。

 エジプトでは大規模な反政府デモが発生しており、その動向次第では中東諸国などに影響を与え兼ねず、またもスエズ運河の航行へのリスクも高まり原油価格は上昇し、北海ブレンド先物は昨日、1バレル100ドルを突破した。

 昨年がギリシャ・ショックで始まり、今年はどうやらエジプト問題が世界を揺るがせている。この2か国に共通しているのは、古代に文明が栄えた土地であり、それ故、観光収入が大きいことなどであろうか。

 ギリシャ問題はユーロ全般のソブリン危機を招くこととなったが、今度のエジプトの問題は、長期政権にともなう政治への不満などが大きな原因となっている。ギリシャ・ショックは金融市場を直撃したが、エジプトの問題は地政学的リスクや原油価格の高騰などにより、金融市場に影響を与えてきている。今後の情勢次第では中東やアフリカ諸国のパワー・バランスに変化が出てくる可能性があり、そうなると問題は米国などを巻き込み、かなり大きくなりかねない。

 もうひとつ、注意すべきはやはり古代文明の発祥国である中国への影響か。60年以上に渡り共産党の一党独裁政権が続いているが、エジプトなどに触発されて中国国内で独裁政権への不満が再び高まってくる可能性もある。

 いずれにせよ、昨年のギリシャにせよ、今年のエジプトにせよ国や政府に対する不信感がその問題の根底にある。日本では政府に対して国民は反発まではしていないものの、非常に冷めた目でみている。しかし、巨額の政府債務を抱えたまま、口先では財政健全化を唱えるものの、なんらその進展がない状況で果たしてこのまま国民は大人しくしているのであろうか。

 日本でも2009年に大きな政権交代が起きたが、それでわかったことは何も変わらないということであり、それを反省しているのは選んだ国民であろう。確かにギリシャやエジプトの国民に比べれば日本人は比較的豊かな生活を送れており、大きな不満はないのかもしれない。しかし、それは国の巨額な債務に基づいていることを、そろそろ気にしなければならないのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2011-02-02 08:45 | 国債 | Comments(0)
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