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日米の財政悪化が今後の懸念材料になる可能性

 格付け会社のスタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は27日の日本時間での夕方に、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA-への引き下げを発表した。アウトルックは安定的。外貨建て・自国通貨建ての短期ソブリン格付けはA-1+に据え置いた。

 S&Pは2007年4月に日本の長期ソブリン格付けと長期優先債券格付けをAA-からAAへ1ノッチ引き上げており、格付けそのものの変更はそれ以来となる。昨年1月に日本ソブリンのアウトルックをネガティブに変更しており、それから約1年経過した時点での格下げとなった。また、S&Pによる日本国債の格下げは2002年4月にAAからAA-に引下げて以来のものとなる。

 また、日本国債の格下げは2002年5月にムーディーズ・インベスターズ・サービスがAa3からAa2に引き下げて以来となるため、債券市場関係者の中には初めての格下げを見た人も多いと思われるが、市場への影響はその2002年と同様に一時的なものであった。

 その理由は言うまでもなく日本国債の95%が国内資金で消化されているため、国内投資家が格下げにより国債を売却することは考えづらいためである。また、格下げを理由にこれまで売りを仕掛けていた海外投資家もほぼ失敗に終わっており、日本国債の格付け変更による債券先物の仕掛け売りは経験上儲からないことが示されている。

 27日の格下げ発表のタイミングで、債券先物は当日15時の引け値から30銭程度、イブニング・セッションで下落していたものの、28日には何事もなかったかのように前日引け水準近くで寄り付き、その後は買い進まれて、27日の高値をあっさりと抜き去っている。

 格下げで日本国債は売られないという結果を今回も示したものの、今後は財政問題が債券市場の重しとなる可能性がある。ここにきて日本の債券市場は米国債券市場の影響を受けやすくなっていることから、日本だけでなく米国の財政悪化を材料視して動く可能がある。

 ムーディーズは27日に、米国の格付け見通しを今後2年以内にネガティブにする可能性が高まっているとの見解を示した。またIMFは財政再建に関して日米の取り組みの遅れを指摘した。さらに、ダボス会議に出席しているトリシェECB総裁は、欧州の財政問題への懸念に対して、米国や日本に比べればユーロ圏全体の財政赤字は、ましな水準だとのコメントもあった。

 今後は日米ともに財政再建に向けた動きを強めなければ、市場がそれを催促するような相場展開ともなりかねない。日本国債は財政悪化懸念という材料では売られないとタカをくくっていると、米債下落を通じて日本の財政も意識された売りが出ないとも限らない。相場は常に何かしらの材料を求めて動くが、その材料として日米の財政悪化が取り上げられる可能性がある。それを避けるためには、現政権による財政再建にむけた真剣な取り組みが求められよう。


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by nihonkokusai | 2011-01-31 07:39 | 債券市場 | Comments(2)
Commented at 2011-01-31 20:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nihonkokusai at 2011-02-02 06:48
たしかに「財政悪化に向けた取り組み」となってしまいますね。財政再建に修正しました。ご指摘、ありがとうございます。
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