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S&Pによる日本国債の格下げの影響

 格付け会社のスタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は27日の日本時間での夕方に、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA-に引き下げた。アウトルックは安定的。外貨建て・自国通貨建ての短期ソブリン格付けはA-1+に据え置いた。

 S&Pのサイトによると、今回の格下げは、日本の政府債務比率がさらに悪化するとのS&Pの見方を反映し、日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下するとの予想に基づくもののようである。

 さらにS&Pは次のようにもコメントしている。「日本の債務比率は既に格付け先ソブリンの中で最も高いレンジにあるが、さらに、S&Pが世界的な景気後退以前に予想していた水準を上回る水準まで上昇し、2020年代半ばまで下降に転じないとみている。なかでも、一般政府財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2010年度の概算値である9.1%から、2013年度には8.0%へと若干の低下にとどまると予想している。中期的には、大規模な財政再建策が実施されない限り、2020年より前に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡は達成できないと予測している。」

 S&Pは2007年4月に日本の長期ソブリン格付けと長期優先債券格付けをAA-からAAへ1ノッチ引き上げており、格付けそのものの変更はそれ以来となる。昨年1月に日本ソブリンのアウトルックをネガティブに変更しており、それから約1年経過した時点での格下げとなった。また、S&Pによる日本国債の格下げは2002年4月にAAからAA-に引下げて以来のものとなる。

 これまでの海外格付け会社による日本国債の格付け変更に関しては、日本の債券市場に対する影響はほとんどなかったと言っても良い。その95%が国内資金で消化されている日本国債は、国内投資家がこの格下げにより国債を売却することは考えづらいためである。また、格下げを理由にこれまで売りを仕掛けていた海外投資家もほぼ失敗に終わっており、日本国債の格付け変更による債券先物の売りは儲からないというのがわかったのか、そういった動きもあまり見えなくなっている。

 実際に27日の債券先物のイブニング・セッションでは、発表があった瞬間は売られていたが、先物でわずかに20銭程度の売りでしかなかった。むしろ、外為市場での影響の方が大きかったぐらいである。

 ただし、今回も果たして格下げによる日本国債への売りは「狼少年」となるのか。実は今回の格下げはかなりボディーブローのように効いてくる可能性がある。2011年度予算案を基に2014年度までの歳出と歳入の見通しを推計した「後年度影響試算」の内容を見ても、新規国債の発行額は50兆円規模で続く可能性が高い。国内投資家もこのあたりのリスクをかなり意識し始めているはずである。特に国内資金であとどの程度賄えるのかといったところを。

 また、財政悪化に関しては米国も同様であり、ここにきて米国債券市場の影響を受けやすくなっている日本の債券市場が、日米の財政悪化を材料視して動く可能性もありうる。そうなれば投資家のみならず業者もある程度、保有国債の価格変動リスクを減らすような動きをしてくることも考えられる。今後の債券市場の動きには十分な注意も必要になろう。


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by nihonkokusai | 2011-01-27 18:39 | Comments(0)
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