牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

50兆円規模の新規国債発行は続けられるのか

 26日付の日経新聞によると、2011年度予算案を基に2014年度までの歳出と歳入の見通しを推計した「後年度影響試算」の内容が明らかとなった。財務省のサイトにはまだ内容がアップされていないため、この日経の記事を元に内容を確認してみたい。

 名目成長率を1%台半ばを前提にすると、社会保障、地方交付税、公共事業などの政策的経費は2011年度が70.9兆円、2012年度72.0兆円、2013年度72.8兆円、2014年度73.8兆円となる。

 歳出には国債費(国債の償還費と利払い費)もあるが、仮に長期金利が2%に抑えられていたとしても国債発行残高が膨らみ続ける関係で、国債費は2011年度が21.5兆円、2012年度22.9兆円、2013年度25.1兆円、2014年度27.1兆円に増加し続ける試算となる。仮に長期金利が現在の欧米先進国並の3%程度に上昇すると、2014年度の国債費は4.2兆円増加の31.3兆円に膨らむ。

 つまり歳出合計では、2011年度92.4兆円、2012年度94.9兆円、2013年度97.9兆円、そして2014年度は100.9兆円と100兆円を越す試算となっている。

 歳入における税収は2011年度40.9兆円、2012年度41.5兆円、2013年度42.3兆円、2014年度43.1兆円との試算であるが、名目成長率が想定から1%上回った場合には2014年度の税収は1.4兆円のプラス、2%上回った場合には2.9兆円のプラスとなる。これは想定を2%上回ったとしても、試算上は3兆円程度しか増加しないということでもある。

 歳入にはその他税収もあり、これは日経新聞の表には掲載されていないが、逆算すると2011年度7.2兆円、2012年度3.9兆円、2013年度3.8兆円、2014年度3.6兆円となる。埋蔵金もかなり掘り尽くされており、税外収入に多くは望めない。

 上記の前提による新規国債の発行額予想は、2011年度44.3兆円、2.12年度49.5兆円、2013年度51.8兆円、2014年度54.2兆円となり50兆円規模の新規国債発行額が続く予想となっている。また、もし政策的な経費を政府方針通りに70.9兆円以下に抑えても、2012年度の国債発行は48.4兆円、2013年度49.8兆円となる。

 つまり多少景気が回復したとしても、それによる税収増の伸びは数兆円規模であり、それは景気回復とともに、もし長期金利が1%程度上昇してしまえば、あっさりと相殺されてしまう数字である。

 思い切った歳出削減や消費税増税なども必要であることは明らかながら、それによっても国債発行額を大きく減額するのが厳しい状況であることに変わりはない。毎年度50兆円規模の新規国債が果たしてどの程度継続は可能なのか。

 たとえば銀行などの貸出や、生保や年金など保有する株式や外債投資など国債以外に振り向けられた運用資金は確かに存在する。それを国債に振り向けることも可能性としてはある。

 しかし現実問題としてはそれらには無理がある。そもそも銀行の貸出を引き上げてしまうと日本の経済そのものが成り立たなくなる。もちろん保有する株式の売却も株価の下落を招きかねない。また、日本からの外債投資、その多くは米国債と見られるが、それを引き上げることは米国がかなり危惧することも確かである。1998年末の運用部ショックと呼ばれた日本国債の急落の際の米国からの圧力などを見てもそれは明らかである。

 国の資産売却という可能性もあるが、それにより毎年度数十兆の資金を得ることは無理があるとともに、埋蔵金と同様に一度売却してしまうとそれっきりである。

 いずれにせよ国内資金で毎年50兆円もの新規国債を買い入れるにはさすがに限度があり、その限度に接近しつつあることも確かであろう。もちろん新規国債の50兆円程度がすべてが民間資金でカバーされるのではなく、国債の償還金や日銀による国債買入等も加味して考えなくてはいけない、それでも国債の安定消化をこの先何年間も継続させることはやはり難しいものとなるのではなかろうか。政府がかなり思い切った財政再建に向けた努力を行わなければ、国内資金で国債が賄えなくなる日がやってくるであろうことは確かである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

「牛さん熊さんの本日の債券」を10月1日からメルマガで配信しております。
登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。
価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-01-27 08:48 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー