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FRBの国債買入に対する歴史の教訓

 米国では1930年代の大不況下に米連邦準備理事会(FRB)は大幅な金融緩和に踏み切った。これを受けて、TBの金利は1938年からの3年間にわたってゼロ%近辺で推移した。この1930年代の不況対策に加え、1941年に第二次世界大戦に参戦したことで、米国の国債発行額は大きく膨らんだ。1945年の国債残高はGNPの1.2倍に達したのである。

 そして米政府は連銀を通じて国債を買い支える価格支持策(ペッギング・オペレーション)を採ってきた。この結果、1946年に連銀は市場性国債残高の11.5%を保有していたのである。

 また、カネ余りにより米銀の余剰資金も膨れ上がり、この余剰資金を振り向けたのは国債であった。結果としてFRBは長期金利の跳ね上がりを防ぐことができ、大不況と戦争という危機を乗り切ったこととなる。

 第二次大戦後、今度はインフレ懸念の台頭により、FRBは国債価格を維持する政策の副作用に直面することになった。インフレリスクを防ぐために、1951年に財務省とFRBは「アコード」を取り交わし、国債価格維持を撤廃したのである。これによりFRBの判断で金融政策が行えるようになり、中央銀行による金融調節が重要性を増すこととなった。財務省は金融政策に依存することなく、債券市場に向き合っての国債管理政策を採用することになった。

 上記のコメントは私が2005年8月にブログに書いたものである。この米国の状況と2005年当時の日本の状況が似ていたためである。その後、リーマン・ショックなどによる世界的な金融危機を迎え、それに対処するためFRBは国債購入を増加させた。これによりFRBによる国債保有比率は当時の水準を大きく上回ることとなった。

 当時の状況に似た環境は日本だけでなく、結局、米国も同じ道を辿ることとなった。それならば、その後の結果も同様なものとなるのであろうか。日本はさておき、米国では確かにインフレ懸念も強まりつあり、それにより長短金利差が拡大してきた。景気についても予想されていた以上に回復基調を強めている。

 一方で米国も日本同様のデフレに落ち込むとの見方も強いが、それもあくまでひとつの可能性に過ぎない。日本のデフレは経済状況ばかりでなく社会構造を含めてその要因があるとみられ、それをそのまま米国の状況に当てはめることもできないはずである。

 このため、今後の米国の経済状況次第では、インフレリスクが出てこないとも限らない。さすがに出口を探る動きは早過ぎるかもしれないが、FRBが日本の状況ではなく過去の自国の状況を振り返り、6月末以降の国債買入に関して議論を深めてくる可能性もありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-01-26 08:34 | 国債 | Comments(0)
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