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英国の財政再建を手本に出来るか

 今年5月の総選挙により政権についたキャメロン首相は財政再建を最優先課題とした。その5年間という任期在任中に財政再建を果たすために、6月に財政再建に向けた緊急予算案を発表した。オズボーン英財務相が発表した緊急予算案によると、第二次大戦後で最悪規模に膨らんだ公的債務を減らすため、2011年1月4日から付加価値税の基礎税率を現在の17.5%から20%に引き上げる。

 オズボーン財務相は2010年度の公的債務が1490億ポンドに上るとの見通しを示した。このため、年間20億ポンド規模の銀行新税を2011年から導入するとともに子供手当てや福祉給付カットなどの歳出削減を組み合わせ、財政赤字のGDP比を2015年度までに1%まで引き下げるとした。ちなみに英国の財政再建策に伴う国防予算の削減により、英海軍は保有してる軽空母「インビンシブル」をインターネット上の競売に掛けているそうである。

 財政再建には大きな痛みを伴う。これは財政再建に向けた動きに対して、デモが発生したギリシャなどの例を見ても明らかである。しかし、ギリシャなどは外部からの財政再建の圧力に屈したものであり、内部からその声が強まったわけではない。

 これに対して英国では、選挙で財政再建を最優先課題とした保守党を国民は支持したことになり、内なる声に耳を傾けた結果の財政再建であり、国民は自らの責任において財政再建を推し進めるべきとしたものである。1990年代でのカナダのクレティエン政権による財政再建も同様に国民の声に答えたものである。日本の民主党政権が行っている事業仕分けは、カナダの財政再建の一部を参考にしたものである。

 英国の政治を見ると、スピード感が日本などとまったく異なる。今回のキャメロン政権の財政再建もそうであるが、1997年5月に誕生したブレア政権もやはりそうであった。当時のブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し独立性を高めるという大胆な改革を進めている。

 キャメロン首相もブレア元首相も非常に若いときに首相に就任しており、若さ故のスピード感もあったのかもしれない。また、高い支持率がある政権交代時にすぐに行動に移すことにより、時間をかけることによって生じかねない反対意見を抑えこんで、とにかく既成事実化する必要もあったと思われる。

 日本でも民主党に政権が移った際に、本来であれば財政再建に向けてもっと大胆な施策もできたはずである。ところが民主党が掲げたマニフェストは日本の先々の不安を取り除くものではなく、財政負担はさしおいて国民生活を意識したものであった。財政再建は二の次にされ、むしろ財政再建は遅れる結果ともなった。これはこれで国民の声であったのであるから、致し方ない面はある。

 しかし、英国以上に財政が悪化している日本にとり財政再建は待ったなしとなる。ただし、これについては国民は危惧はしても真剣に問題視していない部分もある。これまでの選挙で消費税増税を掲げると負けるという経験則までできている、選挙では財政再建を最優先課題とできにくい面もあろう。ただし、先送りにもそろそろ限界がある。国民もそれはかなり意識してきていると思われる。日本の先々の不安を取り除くための財政再建はそれなりの国民負担が生じることで、英国のように大胆かつスピーディーな政策が求められる。

 先送りの結果、気づいたときには破綻状態となれば、その負担は国債を買い支えていた国民にふりかかる。その際には財政再建による負担に比べかなり厳しいものになることを国民自身が真剣に考えなければならない。これを避けるためには、政治そのものを大きく変えていかなければならない。英国がやろうとしている財政再建への道筋を日本の国民も早急に見習うべきである。


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by nihonkokusai | 2010-12-31 09:43 | 国債 | Comments(0)
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