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個性ある政策委員の必要性

 日銀は27日に10月28日と11月4日、5日に開催された金融政策決定会合の記事要旨を公開した。この中で須田審議委員が10月28日の決定会合で展望レポートに関する見通しに反対票を投じていたことが明らかとなった。金融政策そのものに対してではなく、展望レポートの文案決定に反対票を投じるというのは極めて異例なことである。その反対理由は議事要旨では以下のように記されていた。

 「須田委員は、展望レポートで示した見通しに比べて、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し、物価の先行きを慎重にみていることや、消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要と考えていることから反対した」

 展望レポートに対しての須田委員の反対理由は頷けるものである。包括緩和については円高対策を含めて、あくまでアナウンスメント効果が意識されたものと私自身は理解しており、包括緩和の効果を控えめに判断するというのは須田委員ばかりの意見とも思えない。

 また、消費者物価指数の基準改定などに伴う影響についても、包括緩和では時間軸政策も打ち出している以上はたいへん重要な問題ともなり、しっかりとした説明が必要であったはずである。このわずか1票といえども。その反対票の意味についてしっかりと考えておく必要がある。

 須田美矢子審議委員の任期は来年の3月31日までとなる。また、野田忠男審議委員も6月16日までの任期となる。これまでの日銀の政策委員には、一人でも反対を示すような委員が存在していた。須田委員ばかりでなく、水野温氏前審議委員、さらに執行部でありながらも反対票を投じた岩田前副総裁。以前では中原元審議委員や篠塚元審議委員なども強く印象に残っている。

 実はこういった反対票はかなり重要な意味を持つ。むしろ反対票を投じた委員の意見のほうが正論であると思われることもしばしばあった。日銀の金融政策が多数決で決められているのは、それぞれの出身母体の知識や経験を活かし、それぞれの個性に応じた意見を戦わせ、適格な金融政策を行うためではなかろうか。

 しかし、現在、須田委員以外ではそれほど個性を際立たせている委員は残念ながら見当たらない。もちろん野田委員を含めて、これまで反対票を投じた委員はいるが、単独で議長提案に向かっていくような委員は、須田委員を除けば見当たらない。このままでは今後、政策委員そのものが、白川総裁とその優秀な仲間達となってしまう危惧がある。

 日銀一体となって突き進むことも重要ではあるが、金融政策決定への透明性を高めるためにも、個性を持った委員同士の意見のぶつかり合いを見せることも必要であろう。須田委員や野田委員の後任にはぜひ際立つ個性を持ち、それを示せる人物を選んでいただきたい。さらに現在の委員も、副総裁を含めて個人の意見を、決定会合の場において、もう少し強く打ち出してきても良いのではないかと思う。


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by nihonkokusai | 2010-12-29 00:21 | 日銀 | Comments(2)
Commented by at 2010-12-29 06:25 x
やはり女性枠ということで女性学者になるんでしょうか。あまりエッジの利いた女性マクロ経済学者というのは思い当たりませんが。。。
Commented by nihonkokusai at 2010-12-29 10:59
これについては、昨日、知り合いの方々と話をしておりました。さすがに女性なしということは国際的にありえないはずで、須田委員の後任は少なくとも女性、さらに学者枠は増加しているため、学者であるかどうかはわかりませんが、それに近い方が選ばれると思われます。探せば結構いらっしゃるのではないかと思います。個人的には、たとえば翁百合さんあたりになっていただけると嬉しい気もします。ご本人はあまりその気ではないようですが、国債問題にも詳しい方でもあり、適任であると思うのですが。
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