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「長期金利上昇に対する投資家の冷静な見方」

 12月20日に開催された国債投資家懇談会の記事要旨が財務省のサイトにアップされており、今回はこの内容を確認したい。特にここにきての長期金利の上昇をどのように投資家が見ていたのかを探る上でもたいへん参考になる。

 出席者からは、「国債市場については、一時、10年債利回りが1%を割った際には心配したが、現状では金利も回復してきてやや安心している状況」、「JGBは、夏場から10月くらいにかけての10年債利回りの0.8%台や5年債利回りの0.2%台はやや振れすぎたと思っており、現状はその反動が来ていると思う。」との発言があった。

 心配していたのはここにきての長期金利の上昇ではなく、むしろ長期金利の1%割れの方であった。過去の長期金利の動きをみれば当然と言えば当然の見方である。

 また別の発言者からは「日本国債のこの程度の金利上昇については、想定の範囲内であり特に一喜一憂していない。投資家行動を見渡した場合、今回の金利上昇については、債券を売って株へシフトした結果であるとは考えていない。」との発言もあった。

 これからも特に今回の長期金利の上昇については、マスコミなどで騒がれたほど投資家も危惧していないことがわかる。さらに株価の上昇はポートフォリオの入れ替えとかではないことも指摘している。これも債券市場関係者にとり違和感はない見方であろうが、株式市場関係者などでは、そうなのかとの声もあろう。

 とはいえ今回の金利上昇というかボラタイルな債券相場については、「今後、金利の絶対水準やイールドカーブの形状を含め、非常に動きやすい環境がしばらく続くのではないかと考えている。」との見方や、「最近金利が急ピッチで上昇したが、市場関係者が少ない中、日々の振れ幅が大きくなったことが、短期的に需給を悪化させたと考えている。」との発言もあった。揺れ幅があまりに大きかったことにより、投資家にとってもなかなか手が出しにくい状況でもあったことが伺える。

 また、このような発言もあった。「先週までの短期、長期を中心とした金利上昇については明らかに行き過ぎだったと見ている。特に1年T-Billの0.18%を超える水準というのは、利上げも見通せない中で行き過ぎた金利上昇となってしまったと思う。その背景としては、銀行勢を中心に、外債投資のポジションを米金利の上昇を背景に落としてきたというリスクリダクションの動きが短い年限のJGBまで広がったからであると見ている。」

 今回の長期金利上昇の背景はいろいろと指摘されているが、このリスクリダクションの影響は確かに大きかったと思われる。これに関しては投資家懇ではなくPD懇(国債市場特別参加者会合)でも次のような発言があった。

 「10月5日に日本銀行が示唆した包括緩和政策において、時間軸の明確化や長めの市場金利の低下を促すことを明示され、市場に対してコミットしたと市場参加者は認識し、そのコミットメントに基づき、特にこの下期以降、債券運用の計画やスタンスを固めていった。一方、現状では、そのコミットが薄れつつあるのではないかとの認識を持っている。例えば、12月14日にT-Billの1年物の入札の応札倍率が1.81倍、最高利回りが0.19%程度まで流れる結果となっているが、この間、このコミットメントに対するメッセージ等がなく、日本銀行の意識に対して懐疑的にならざるを得ない状況である。」

 このあたりはなかなか難しい問題を抱えている。結果からみれば日銀が包括緩和を決定してから、長期金利だけでなく短期金利も上昇気味となった。それについては日銀が市場機能を重視して、過度な抑えつけを控えてきたためとの見方もある。しかし、その要因が銀行によるリスクリダクションの動きであるとすれば、日銀が無理やり抑えこむよりも、その動きがある程度一巡して、落ち着きを取り戻してから動いたほうが効果的でもある。また、日銀が過度に短期金利上昇への警戒心を強めるようなことを総裁などが示唆してしまうと、市場では追加緩和期待が強まってしまう恐れもある。自らの動きを縛るようなことも日銀としてはしたくないであろう。

 いずれにせよ、銀行によるリスクリダクションの動きは年末も近づいて一巡したとみられる。金利水準も投資家にとりある意味心地良い水準にもきている。ファンダメンタルズの先行きについては過度な悲観論とともに楽観論も影を潜めており、その意味では今後の金利はある程度落ち着いた動きを見せてくると思われる。


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by nihonkokusai | 2010-12-24 10:00 | Comments(0)
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