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長めの金利上昇に働きかけてしまった日銀

 債券相場の下落が止まらない。ここに来ての債券相場は下がるかなと思うと米債がしっかりで、翌日反発してみたり、また不安定ながらも底打ちするかと期待すると、米債が急落するなど、債券市場関係者にとり、非常にやりにくい相場展開が続いている。

 今回の債券相場の下落要因については、以前にも何度か指摘したが、大きな要因としては米債安があり、それに絡んだ銀行によるリスク管理上からのポジション調整の動きが大きいとみられる。

 結論から言って、米債は11月のQE2を確認してから本格調整に入り、円債に関しては10月の包括緩和政策決定を受けてから債券相場は下落基調を続けている。

 FRBは米国債の買入の増額を行ない長めの金利低下を促して、その結果として物価の安定、景気の回復とそれによる雇用の回復をはかろうとした。日銀もこれまでの国債買入とは別枠で1~2年の国債を買い入れ、さらに時間軸政策も組み入れて、やはり長めの金利低下をはかろうとした。

 しかし、長めの金利は低下するどころか反対に上昇し、日本の2年債の金利は10月の包括緩和決定のころの0.1%から、現在は0.2%台に上昇している。期間1年物の短国までも0.2%近くに金利が上昇しているのである。

 これを見る限り、どうやら日米の中央銀行は長めの金利の低下ではなく上昇に働きかけをしてしまったようである。もちろんそれぞれ、先に金利が大きく低下してしまった反動といった面も大きい。

 特にFRBに関しては数ヶ月かけてじっくりとQE2に向けての宣伝を行なってきたことで、利回りが下がるところまで下げてしまった感もある。日銀にしても、2年債が0.1%程度まで下げたことで、やはりピークアウト感も出てしまったものとみられる。

 しかし、その後の金利上昇に関しては日米の中央銀行はそれほど懸念しているような素振りはない。それには日米ともに株価が上昇し、日本では円高の動きが止まったことなども大きい。日本では今日発表された短観などみてそれほどでもないが、米国では発表される経済指標によっては景気の改善を示すものも出始めている。

 日米の中銀にとり、長めの金利低下に働きかけるというのは、最終的な目標ではない。それにより景気や物価に働きかけようとするものであり、たとえ長期金利が上昇しようとも、景気に回復の兆しがみえればそれはそれでよしとなる。

 景気回復を阻害するほどの金利上昇となれば懸念も出ようが、ピッチのほどはさておき、この程度の金利上昇はまだ許容範囲ということでもあろうか。つまり買われすぎの反動程度と捉えれば、金利上昇をむやみに抑えこむ必要はない。

 円高一服、株価の上昇となれば、混沌としている政局の中なあっても、政治家などからの日銀へのプレッシャーも緩む。日銀としてもこの長期金利の上昇抑制のための追加緩和といった手段を取ることはまず考えづらい。このため、結果としては長めの金利の上昇に働きかけてしまったかにみえる日銀ではあるが、当面は様子見のスタンスで望むものと思われる。

 ただし、注意すべきは債券相場の地合いが不安定になる中、あらためて財政への不安などからさらに国債が売り込まれるような事態になることである。いわゆる悪い金利上昇は避けなければならない。長期金利が1.5%あたりまで上昇しても、それほど悪影響を及ぼすことは考えづらい。しかし、それが2.0%を目指すようなことになれば話は違ってきてしまう。日銀の包括緩和は金利のアンカーになっていることも確かで、そのアンカーが外れてしまったような動きとなった際は危険な兆候となる。いづれ債券相場は下げ止まると思われるが、どのあたりで止まるのかも確認しておく必要があろう。
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by nihonkokusai | 2010-12-16 08:40 | 債券市場 | Comments(0)
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