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「1997年の韓国での教訓」

1997年5月にタイの通貨バーツの暴落を皮切りに、アジアの新興諸国の通貨が連鎖的に暴落し、東アジア全域の経済が大混乱に陥った。いわゆるアジア危機である。東アジア各国の株は急落し、成長率は軒並みマイナスとなり、企業倒産や失業が急増したのである。

韓国では起亜自動車の倒産を皮切りに経済状態が悪化し、金融部門が大きな不良債権を抱えた。また、格付け会社のムーディーズは、1997年7月に韓国の格付けをA1からA3まで引き下げ、さらに11月にはBaa2にまで引き下げた。韓国の抱えていた民間短期対外債務残高は320億ドルあったが、通貨防衛のための為替介入により、韓国の使用可能な外貨準備高は1997年10月末の223億ドルから12月2日には60億ドルまで減少していた。こうして韓国はデフォルト寸前の状況にまで追い込まれたのである。

11月21日に韓国政府は国際通貨基金(IMF)に200億ドルの緊急支援を要請した。これにより、韓国はIMFの管理下に入ったのである。IMFは12月3日に史上最大規模となる210億ドルの融資の実施を決定し、現代グループなどに対して財閥解体が行われた。

その後、海外からの証券投資に対する規制が緩和され、対外証券投資の流入が促進された。韓国の国際収支は安定を取り戻し、韓国は通貨危機を受けたアジア諸国の中でもいち早く危機克服に向かったのである。

しかし、2008年後半に金融危機は韓国に波及し、アジア通貨危機の再来かという不安感が高まった。ただし、2008年9月にIMFは、対外債務増加と自国通貨安に見舞われた韓国経済について、1997年のアジア金融危機時に比べずっと強いとの認識を示していた。

2008年9月のリーマン・ショック直後から短期金融市場での流動性が低下し、韓国から海外への資金流出も重なり、ウォン相場は一気に不安定化した。この事態に対して韓国政府は、米国、中国に続いて日本との間で2国間の通貨スワップ協定の拡充、韓国の国内銀行の対外借入に対する政府保証の付与表明等、一連の危機対応を講じて市場の鎮静化に努め、景気対策として財政出動や金融緩和を実施した。これらにより韓国経済は、2009年第1四半期以降は景気回復トレンドが継続している。

これを見る限り、1997年の危機の経験が活かされたことに加え、構造改革などの進展により企業の体質が強化されるなどしたことで、今回の危機による韓国経済へのの影響は、1997年ほどの深刻さはなかったものとみられる。

1997年の韓国の経済危機を乗り越えたことにより、韓国企業は硬直化した組織をスリム化して意思決定のスピードを上げるなど経営の効率化を図り、国際競争力を高めた。1997年のアジア通貨危機にサムスンなども大変危険な状態を迎えたが、これを契機にグローバリゼーションを図ったと言われる。また、ウォン安もサムスン、LGなどの輸出産業にとり追い風となったことも確かである。

いまの日本にとり、この1997年の韓国の教訓を活かすべきではなかろうか。このまま政府債務が膨れ上がると、日本もいずれ1997年の韓国のような危機を迎える可能性がある。その際にはあまりに債務が大きすぎて、IMFの支援は金額的にも難しいものとなろう。そういった事態に追い込まれる前に、積極的な財政再建策を、まだ余裕のあるうちに取っておく必要がある。政府・企業ともに積極的な構造改革を進めることにより、日本のデフレからの脱却も可能になると思われる。
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by nihonkokusai | 2010-12-08 10:13 | 国債 | Comments(0)
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