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「国債の知識、特例国債(赤字国債)の発行根拠法」

財政法に基づいて発行される建設国債に対して、特例国債(赤字国債)は、発行されるたびに特別法を制定し、特例により発行される。

東京オリンピック直後の1965年の日本経済は、深刻な不況に陥っており、企業の倒産が続出し政府の税収も大きく落ちこんだ。これは昭和40年不況とも呼ばれた。時の佐藤栄作首相や福田赳夫大蔵大臣などが、議論を重ねた結果、1965年11月19日の第二次補正予算で、戦後初めてとなる国債を発行する方針を決定した。この国債発行に対して、佐藤首相は「あくまでも特例としての発行である」と発表し、これにより特例国債つまり赤字国債が生まれたのである。

つまり特例国債とは建設国債の発行をもってしてもなお歳入が不足すると見込まれる場合に、公共事業等以外の歳出に充てるための資金調達を目的として国債を発行しているのである。

ただし、この1965年に発行された特例国債の発行限度額は公債発行対象経費の枠内であるという、特殊な性格を持っていた。公債発行対象経費とは財政法4条により、歳入財源としての公債または借入金の使途として認められた公共事業費、出資金および貸付金をいう。

その後しばらく特例国債は発行されなかったが、1975年度に石油ショック後の影響により巨額の税収不足が予測され、税収不足全額を公債の発行によるとすれば公債発行対象経費を大幅に上回ることになるため、政府は特別法の特例により国債を発行することになったのである。このため「昭和50年度の公債の発行の特例に関する法律」が国会に提出され、成立したのである。

この法律は単年度立法として提出されたことで、それ以降も類似の法律が毎年度制定され(略称は「特例国債法」)、特例国債が発行されている。特例国債は1990年度から1993年度までは好景気による税増収や財政再建の努力の結果として、一時的に発行されない期間があったものの、すぐにまた発行が再開され、1994年から現在に至るまで特例国債は発行され続けている。

このように特例国債は、建設国債の発行をしても歳入が不足すると見込まれる場合に、一般会計の財源不足を補うために発行される。主に社会保障、防衛費や人件費などの経常的経費を調達するために充てられている。

しかし、人件費などの経常的経費は、将来世代に資産を残すことはなく、国債の元利償還のための租税負担というかたちでの費用負担だけを残すことになるため、財政法ではこのための国債発行は認めていない。それにもかかわらず、無理やりに特例法を制定して発行しており、さらに特例法がそれ以降、一時期を除いて毎年度制定されており、もはや特例という言葉自体に意味をなさないものになっている。

特例国債の発行限度額に対しては、特例法では特例国債の発行権限のみが規定され、具体的な発行総額は予算総則により規定するというかたちになっている。つまり歳入歳出予算の一環として国会の審議・議決を受けるかたちになっている。また、特例国債と同様に償還計画表を国会に提出することとされている。

実際の特例国債の発行にあたっては国会の議決を経た範囲内で、税収等の実績に応じ発行額を極力抑える必要がある。このため毎年度の税収の収納期限である翌年度の5月末までの税収実績等を勘案して特例国債の発行額を調整するために、特例国債の発行時期を翌年度の6月末までとするいわゆる出納整理期間発行の制度が設けられている。特例法にもあるようにその期間における(つまり4月1日から6月末)国債発行による収入は3月末までの予算計上年度のものとし、これは会計年度所属区分の特例規定となっている。この出納整理期間発行は年度末の国債発行による市場への影響を緩和する効果もある。つまり、その期間分、国債発行額を均すことが可能となるのである。
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by nihonkokusai | 2010-12-07 08:31 | 国債 | Comments(0)
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