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「長期金利のコントロールは可能か」

23日に11月2、3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の中では、追加の資産購入により、この場合の資産は米国債であったが、長めの金利の低下を促すことにより、生産と雇用の回復を後押しし、物価を目標とするレベルへ引き上げが可能としている。その経路について疑問視される部分も多々あるが、今回はそれについてではなく、そもそも長期金利のコントロールが可能であるのかという点について触れてみたい。

中央銀行の金融調節の目的はあくまで短期金利のコントロールであり、市場で決定される長期金利はコントロールできないというのが一般的な認識であると思われる。ただし、市場への期待に働きかけることでのコントロールが試みられることはある。

もし長期金利を完全にコントロールしようと思うと、市場を完全な統制下におく必要がある。さらに海外での影響を排除するために、海外と隔離された国内市場を形成する必要もある。これは戦前・戦中の日銀による国債引受が実施された際にも日本で取られた手段である。

また、国債市場そのものの規模が小さく、また金融機関への引受が主体となっている際などもある程度のコントロールは可能である。これは戦後の日本でも銀行のディーリングが認可される以前に見られたものである。

しかし、これだけ市場経済が発達している中にあってさらに国債市場規模が大きくなっているとなれば、国債価格をコントロールすることは不確定要素があまりに多く存在することも手伝い、不可能に近い。その価格を安定させることが難しいことは、QE2後にむしろ米長期金利が反転上昇していたことからも明らかである。もちろん期待が先行して、あまりに長期金利が低下してしまった反動と言えばそれまでだが、将来のインフレへの懸念により上昇していた面もあり、このあたりは市場の期待に働きかける難しさも垣間見せている。

それでは日本ではどうであろうか。デフレ下にあり、国債が国内資金でほぼ賄えているだけに、海外要因にはあまり振り回されることなく、コントロールが一見可能のように見える。確かに1998年末から1999年初めにかけての運用部ショックによる長期金利の上昇以降は長期金利は2%以内に抑えられてはいる。しかし、これは決して日銀の金融政策だけによるものではない。そもそも日銀は長期金利上昇を抑制しようとして金融緩和策を行っているのではなく、反対にデフレから脱却させようとしている。それはつまり、むしろ長期金利については上昇する方向に働きかけているわけだが、一向にデフレが解消されずに長期金利は低位安定するという結果となっているのである。

米国よりも日本で長期金利のコントロールが可能かどうかが真剣に議論される時期がいずれくる可能性がある。その際には、債務悪化を背景とした長期金利の急上昇にどのように歯止めがかけられるのか、ということが議論されることになろう。しかし、その際には金融政策によるものには限界がある。もちろん日銀引き受けの国債発行などは財政規律の緩みが意識され、さらなる長期金利の上昇を招く。それよりも、そういった長期金利の上昇を引き起こさせないための予防的な措置が必要である。そのために最も効果的なのは財政健全化であることは言うまでもない。
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by nihonkokusai | 2010-11-25 08:34 | 債券市場 | Comments(0)
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