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「いくつかの不安定要因を抱える債券相場」

11月12日の債券は、10年債利回りが1.020%まで上昇したことから、債券先物も142円26銭まで下落した。しかし、引けにかけては超長期から長期、そして中期債に押し目買いが入ったことで、先物も買い戻され142円59銭で引けた。その後、イブニング・セッションで142円90銭まで反発していたが、これは現物への投資家の押し目買いによるものと言うよりも、どうやら先物の買戻し主体の動きのようであった。

イブニングセッションで142円90銭をつけたあと買戻し一巡後は上値が重くなった上に、その後、12日の米国市場で米債が大きく下落したため、これを受けて、週明け15日の債券先物はやや売られてのスタートとなった。債券先物は先週末比14銭安の142円45銭で寄り付いた。その後も売りに押され、債券先物は引け際に一段安となって先週末比58銭安の142円01銭まで売られて大引けは142円02銭に。先物が前日比50銭を超える下げとなったのである。

現物債は短いところから長いところにかけ、全般に売りが入った。現物は1年物短期国債の入札結果が悪く、この影響で中期も売られ2年が0.150%をつけ、5年債は4毛甘の0.380%が打たれた。そして、10年債は5毛甘の1.045%まで下落。超長期債も20年債が3.5毛甘の1.935%、30年債が5毛甘の2.085%が打たれた。そして、またその後のイブニング・セッションで先物は売り込まれ、142円を割り込み141円78銭まで売られた。10年債利回りも1.050%をつけたが、時間帯から見て海外勢による先物主体の売りと考えられた。

米国のエコノミストや大学教授らが量的緩和を避難する声明を発表した、そのタイトルは「ベン・バーナンキへの公開書簡」。その中で、量的緩和の効果に懐疑的な見方や、通貨下落とインフレリスクを警戒、この声明も昨日の米国債の売り要因のひとつとなった。このような内外からのQE2への批判で、追加緩和の可能性が遠のいたことに加え、昨日発表された10月の米小売売上高が前月比1.2%増となるなど、ここにきて経済の改善を示す指標がぼちぼち出てきたことも、米債には売り要因となった。昨日の米国債券市場では、10年債利回りは2.95%近辺に、また30年債は4.4%台にまで上昇した。

これを受けて、16日の債券先物は前日比49銭安の141円53銭でのスタートとなり、また10年債利回りは1.090%に上昇した。5年債利回りも0.410%と0.4%台に、20年債利回りも一時1.980%まで上昇した。短期間にここまで先物が下落し、長期金利が1.1%に接近してきたのは、日本の債券市場がいくつか不安定要因を抱えているためと思われる。

米国ではさらなる追加の量的緩和期待、つまりQE3への期待感が後退している。QE2に向けてバーナンキFRB議長を始め関係者が市場への期待感を創出させるような発言を繰り返していたこともあり、市場では必要以上に期待感を強めた結果、その反動がここにきて出てきており、この米債の動きが円債にとり不安定要因のひとつとなっている。その米債に以前ほどは影響を与えていないとは言え、アイルランドやポルトガルといった欧州での債務危機問題についても不安定要因のひとつとなる。

そして10月5日の包括緩和策の実施後、翌日に債券相場が目先の高値をつけてからは、右肩下がりの相場展開となっている。包括緩和の実施によりむしろ長期金利1%割れという異常ともいえる相場から1%台という通常モードに移行しつつあるとも言える。米国での追加緩和期待の剥落や、円高ドル安が一服していることにより、日銀の追加緩和期待も後退しつつある。もし仮に日銀が今後、追加緩和を行うとしても、基金オペの拡充になることが予想されることで、包括緩和政策を取った際ほど長期金利を押し下げる効果はなくなる可能性がある。

また、日本では年末も近づいてきていることで、来年度の国債発行計画も注目材料となる。18日に国債市場特別参加者会合(16時から)と19日に国債投資家懇談会(14時から)が開催される予定であるが、テーマは両会合ともに「予定平成23年度の国債発行計画等について」となっている。来年度の国債市中消化額について、カレンダーベースでの増発は前倒し発行等の活用により、数兆円程度に抑えられるとの見通しが多いようである。この程度であれば、債券市場への影響そのものは限定的とは思われるが、いずれにせよその概要がある程度明らかになるまでは動きづらい。

そして、15日に発表された7~9月期のGDPが前期比年率3.9%増となり予想を上回るなど、ファンダメンタルズの状況にも注意が必要となる。10~12月期はこの反動によりマイナス成長になるとの見方も多いが、ここにきての円高ドル安傾向に歯止めがかかってきていることもあり、今後の経済動向に関しても債券相場の不安定要因ともなりうる。米国でも景気の改善を示す指標がいくつか発表されている。

このように現在の債券市場はいくつかの不安定要素を抱えており、それにより投資家の押し目買いは期待されたほど入っておらず、かなり慎重姿勢であることが伺える。このため、当面の債券相場は米債動向、欧州諸国の債務問題、国内経済動向、為替株価動向、そして国債需給動向などを探りながら、落ち着きどころを探る展開となることが予想される。
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by nihonkokusai | 2010-11-16 10:23 | 債券市場 | Comments(0)
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