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「FRBによる追加緩和の影響」

11月3日のFOMCでFRBは量的緩和策の第2弾となる追加緩和策を決定した。その内容は、来年6月末まで米国債を6000億ドル追加購入するというものである。MBSの償還元本の再投資分も含めると来年6月末までのFRBによる米国債購入は総額8500億~9000億ドルとなり、毎月1100億ドル相当になる。 NY連銀の声明によると、追加購入の国債は期間1年半から30年までが対象となり、このうち償還期限が2年半から10年までの国債が86%を占めており、17~30年はわずかに4%となった。

FRBは市場反応を探りながら、最終的にはそのコンセンサスに近いものを決定した。ただしその内容は国債買入増額のみとし、時間軸の強化や物価水準目標の導入には触れなかった。これは新たな政策目標に手足を縛られることになることを警戒したためと思われる。

11月4日のECB理事会では主要政策金利を据え置き、そしてBOEも同日に政策金利を据え置いた。5日の日銀金融政策決定会合でも、金融政策については全員一致で現状維持となり、日程前倒しの本来の目的でもあったETFとREITの買入れの基本要領を発表した。

FOMCに対する市場の注目度は高かったが市場での波乱はなく、日銀も今回は政策変更に追い込まれることはなかった。しかし、一部のFRBの当局者が追加の国債買い入れ策について懸念を表明したように、量的緩和による効果そのものや副作用についても注意が必要となる。

量的緩和の効果については、先駆者でもある日銀が「量的緩和政策の効果:実証研究のサーベイ」において、量的緩和政策が様々な波及チャネルを通じて、総じて緩和的な金融環境を作り出し、企業の回復をサポートしたとの見方が多いとの結論を出している。しかし、このサーベイでは波及チャネルは特定されていないとの見方も示され、また肝心の物価への直接的な押し上げ効果は限定的との結果も示されている。

米国では今回の量的緩和策によるインフレリスクも指摘されている。その半面、ファンダメンタルズに違いはあるが、日本と同様に量的緩和が物価上昇にそれほど寄与せず、米国においても今後デフレ圧力がさらに強まる可能性もありうる。また、米国債の年間発行額に近いFRBによる国債買入はマネタイゼーションとみなされる懸念もあろう。 もちろんこういった懸念を承知の上での追加緩和であろうが、それが決して経済や物価に対する特効薬ではないことも認識しておくべきであろう。
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by nihonkokusai | 2010-11-15 10:11 | 日銀 | Comments(0)
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