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「政府債務の統計の違い」

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11月10日に財務省は「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(2010年9月末現在)」を発表した。これはIMFの公表基準に従い、四半期毎に公表しているものである。これによると国債及び借入金現在高は908兆8617億円となる。

11月7日のNHK特集でのタイトル「862兆円 借金はこうして膨らんだ」にもある862兆円も日本の借金ではあるが、これは平成22年度末見込みの国と地方の長期債務残高である。この集計の違いはどういうところにあるのか、財務省の資料を参考に探ってみたい。

財務省は政府の債務残高としていくつか集計を出している。これは大きく4つに分けられ、「日本の公債残高」、「国と地方の公債等残高」、「国と地方の長期債務残高」、「国債及び借入金残高」がある。

今回、9月末の「国債及び借入金現在高」が発表されているが、財務省はこの統計の2010年度末の数値も出しており、統計の比較を容易とするため、すべて2010年度末予想の数値を使ってでそれぞれの数値を比較してみたい。

まず、「日本の公債残高」とは「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」の集計の中で内国債のうちの「普通国債(2010年9月末613.8兆円、2010年度末見込み637兆円)」がそれにあたる。ちなみに現在、外貨建ての日本国債は発行されておらず、また残高もないためすべて内国債である。

この「普通国債」とは建設公債と特例公債(赤字国債)の残高である。つまり財投債は含まれない。また、借換債は元々建設公債と特例公債の借換であるため、借換債という区分はない。また集計上、交付国債などは「借入金、交付国債等」として借入金等に含まれる。財投債についても、償還が主として税財源により賄われる債務ではなく、またこれは政府短期証券も同様であるため、それぞれ「普通国債」とは区分されている。

「普通国債(2010年度末見込み 637兆円)」に借入金として「一般会計借入金(同 15兆円)」と「交付税特会借入金(同 34兆円)」を加え、さらに地方債残高(同 141兆円)を加えたものが、「国と地方の公債等残高(同 827兆円)」となる。これは、一般的な政策経費や税収等に連動する国・地方の債務を集計したものであり、財政運営戦略の残高目標として用いられている指標である。財務省ではこれは主に主計局で使う数値のようである。

そして「国と地方の長期債務残高(同 862兆円)」とは、利払・償還財源が主として税財源により賄われる長期債務を国・地方の双方について集計したものである。つまり、国の債務のうち、国負担分の長期債務である普通国債、借入金、交付国債等に、地方負担分の長期債務を合計したものである。

国と地方の債務をはっきりさせるため、交付税特会借入金を地方債務(同 200兆円)に組み入れ、国の借入金とは区別し集計している。ここに「普通国債(同 637兆円)」と「借入金等(同 26兆円)」を加えたものが「国と地方の長期債務残高(同 862兆円)」となる。

日本政府の債務としては、NHK特集のタイトルにもあったようにこの数値が主に用いられる。政府債務とはそもそも徴税権を担保とした債務であると捉えれば、国だけでなく地方も含めたこの数値が該当しよう。こちらは財務省ではこれは主に理財局で使う数値のようである。

しかし、国の資金調達活動の全体像を見るためとして、別の集計が存在する。財政法28条に、国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならないとあり、この中に「国債及び借入金の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書」がある。この財政法第28条に基づき、国債及び借入金の状況に関する残高を算出したものが、「国債及び借入金残高(同 973兆円)」となる。これは前述のようにIMFの公表基準に従い公表されているものでもある。

これはあくまで国による債務、つまり国債と借入金(交付税特会借入金を含む)残高である。「普通国債(同 637兆円)」と「借入金等(同 59兆円)」に、ここには財投債(同 130兆円)と政府短期証券(同 147兆円)が加わり、合計973兆円となる。つまりここには地方債務(地方債及び交付税特会借入金以外の借入金等、166兆円)は含まれていない。
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by nihonkokusai | 2010-11-12 10:39 | 国債 | Comments(0)
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