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「市場の期待に働きかけるFRB」

11月3日のFOMCでFRBは量的緩和策の第2弾となる追加緩和策を決定した。その内容は、来年6月末まで米国債を6000億ドル追加購入するというものである。毎月の追加購入額は約750億ドルとなるが、MBSの償還元本の再投資分も含めると来年6月末までの米国債購入は総額8500億~9000億ドルとなり、毎月1100億ドル相当になる。

ニューヨーク連銀の声明によると、追加購入の国債は期間1年半から30年までが対象となり、このうち償還期限が2年半から10年までの国債が86%を占めており、17~30年はわずかに4%となった。年限別の割合は、1年半から2年半が5%、2年半から4年が20%、4年から5年半が20%、5年半から7年が23%、7年から10年が23%、10年から17年が2%、17年から30年が4%、物価連動債(TIPS)が3%とした。

また個別銘柄について35%となっている内規による保有上限を一時的に緩和し、小幅の超過を認める方針もニューヨーク連銀の声明で示された。FRBは内規により「すべての発行証券について、銘柄毎のFRBの保有比率は発行残高の35%を超えない」としている。

FOMCの声明文では超低金利政策を長期間に渡って続けるとの表現は変わらずとなり、15日の講演でバーナンキ議長が示したような、超低金利政策を長期間に渡って続ける、との文面を市場の期待以上に強化することはなく、また物価水準目標の導入なども示されなかった。

FRBは関係者の発言の影響を見ながら市場反応を探り、最終的にはそのコンセンサスに近いものを決定した。ただし、その内容はあくまで国債買入増額のみとし、さらなる時間軸の強化、さらには物価水準目標の導入には触れなかったのは、新たな政策目標に手足を縛られることになることを警戒したためと思われる。

市場では追加緩和策を好感し、4日のダウ平均株価はリーマン・ショック前の水準に上昇した。また、米債は追加購入の国債の期間別シェアが意識され、購入比率の高い中長期債は買われるが、比率の低い30年債は売られ、5年債と30年債の利回り格差は3%超に拡大した。

超長期ゾーンの買入比率を落としたのは、発行残高や流動性等も意識されたと思われるが、FRBが市場におけるイールドカーブの形成に関与しようとの意図があった可能性もある。

今回の量的緩和第二弾によって、FRBは新たな領域にさらに一歩踏み込んだ。しかし、その効果はどこまで持続するかは定かではない。先輩格の日銀は量的緩和の一環として、市場から国債を買い続けているものの、それがデフレ解消に直接結びついているようには思えない。FRBは適度なインフレ期待に働きかけようとしているようだが、それが果たしてうまくいくのかどうか。今後の動向に注目していきたい。
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by nihonkokusai | 2010-11-08 11:48 | 日銀 | Comments(0)
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