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「包括緩和と為替円高」

11月2日に公表された日銀の金融政策決定会合議事要旨(10月4、5日に開催)から、なぜこのタイミングで積極的な追加緩和策である包括緩和策を実施したのかを探ってみたい。

9月の決定会合の議事要旨と今回の議事要旨を比較して気がつくのは、今回の議事要旨で「為替円高」という用語が頻繁に使われていることである。確認した限り9月の決定会合の議事要旨には円高との表現はあっても「為替円高」との表現はなかった。

特に委員会の検討の中において、以下のように為替円高との用語を伴う発言が複数みられたのである。

「委員はわが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの海外経済の減速や、為替円高による企業マインド面への影響等を背景に改善の動きが弱まっているとの認識で一致した」「多くの委員は、為替円高について、輸出や企業収益などを通じた経路に加え、企業や家計のマインド面に与える影響を通じても、経済の下押し圧力として作用する可能性があると指摘した」 「一人の委員は、足もとの為替円高が長期化する場合には、設備投資スタンスが更に慎重化する可能性もあると述べた」 「物価固有のリスク要因として、ある委員は、為替円高に伴う下押し圧力の強まりを挙げた」

あらためて指摘するまでもなく、今回の包括緩和策導入には、為替円高、特に史上最高値に迫る円高ドル安が大きな影響を与えていたことは明らかである。円高が日本経済の下押し圧力となり、それは設備投資にも影響を及ぼしかねず、さらにデフレ圧力を強める可能性があることを各委員は指摘した。

そして円高進行などにより、日銀が目指している物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期が、これまでの想定に比べて後ずれする可能性が強まったとして、金融緩和を一段と強力に推進する政策、つまり包括緩和策を決定したのである。その政策とはゼロ金利政策、資産買入のための基金設立、そして時間軸政策であった。

決定会合の議論の中でここまで為替円高が強調されたとなれば、今後、さらに円高が進むようなことになれば、円高阻止を意識した追加緩和期待が強まることが想定される。

11月3日のFOMCにおいて、FRBによる6000億ドルの米国債の追加購入を決定したが、これはほぼ予想の範囲内となり、為替市場への影響は限定的となった。

日銀はETFとREITの買入れを早期に実施できるよう基本要領の審議・決定等を行うためとの理由で、次回の金融政策決定会合を予定していた11月15日~16日から11月4日~5日に前倒した。しかし、この前倒しの本当の目的はFOMCの結果による相場変動に備えるためと推測される。

FOMC後の為替相場は比較的落ち着いた動きとなっており、特に為替円高の動きが強まらなければ、11月4日~5日の会合で日銀がさらなる追加緩和を実施する可能性は低いと思われる。
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by nihonkokusai | 2010-11-05 10:43 | 日銀 | Comments(0)
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