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「イングランド銀行による量的緩和策」

2009年3月5日の金融政策委員会(MPC)において、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は、政策金利を0.5%に引き下げるとともに、量的緩和策として英国債を買い入れる方針を発表した。MPC声明文によると国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとした。

イングランド銀行はすでに広義の量的緩和の枠組みとして、CP、社債、国債を買い入れる制度を導入していたが、この制度の原資として保有していた英国債を銀行に売却していた。しかし、実質的な量的緩和の導入により、国債売却による資金吸収の必要がなくなった。さらにこのBOEの国債買い入れに対し政府は損失補償の契約を結んだのである。ちなみにイングランド銀行による国債の引受は明示的には禁止されていないが、実施されているわけでもない。ドイツやフランスなどはマーストリヒト条約により中央銀行による国債の直接引受を行うことはではない。

その後、追加緩和策により量的緩和策の拡大を計ってきたが、2010年2月4日にイングランド銀行は、2000億ポンド規模の資産買い取りプログラムを休止している。

1997年5月のブレア政権の誕生の際、ブラウン財務相は金融政策の大転換を行った。財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切ったのである。

イングランド銀行は、第二次世界大戦後に成立した労働党のアトリー政権の下で「1946年イングランド銀行法」によって国営化され政策運営の独立性を失っていた。イングランド銀行に対する財務大臣の指示命令権を規定するなど、イングランド銀行を実質的に財務省の付属機関と位置づけていた。公定歩合政策と外国為替政策の決定権限は事実上、財務大臣に属し、イングランド銀行はその執行機関としての役割を担っているにすぎなかった。

しかし、ブレア政権によるイングランド銀行の改革により、イングランド銀行総裁、副総裁、理事、外部らの委員で構成される金融政策委員会へ政策運営権限が委譲され、外国為替市場介入権限を部分的にイングランド銀行へ委譲され、準備預金制度の法制化、銀行監督権限をイングランド銀行から分離し、新設された金融サービス機構(FSA)へ移管し、そして国債管理業務は財務省へ移管されたのである。金融政策に関しては、インフレーションの目標は政府が設定し、イングランド銀行はこれを達成するために必要な政策手段を決定するといった役割ともなっている。ただし、量的緩和策の導入やその拡大にあたっても財務相の了承が必要となっている。
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by nihonkokusai | 2010-10-26 19:09 | 日銀 | Comments(0)
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