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「中央銀行による国債買入れの目的とその影響」

日銀は10月5日の金融政策決定会合において包括緩和策を導入し、これまでの国債買入れとは別枠で国債を買入れる方針を示した。

これまでの日銀による国債の買入れは、経済成長に伴って増加する通貨供給の主要な手段としていた。しかし、基金オペを通じて新たに行う国債を含む資産買入れは、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくことを目的とした。

11月2日から3日にかけて開催されるFOMCにおいて、国債買入れ増額を軸とする量的緩和の追加策(QE2)が実施されるとの観測が強まっている。

FRBが2009年3月18日のFOMCにおいて最大3000億ドル分の長期国債の買入れに踏み切った際に、バーナンキ議長はこれを信用緩和政策の一環であるとした。しかし、今年8月11日のFOMCにおいて、今後満期を迎える住宅ローン関連証券を米国債に再投資することを決定したことで、事実上の量的緩和策に転じたと言える。

日米の中央銀行がここにきて、ともに国債買入れを強化する政策を取ったが、日銀が信用緩和を含む政策を講じたのに対し、FRBは信用緩和から量的緩和へ傾斜していったことは対照的ではある。ただし、これは手段が限られてしまう中で対策を講じた結果、信用緩和と量的緩和の境界線の意味が薄れてしまったためとも言える。

国債買入れは今年5月からECBも行っている。ECBによる国債買入れは国債市場の安定化そのものが目的であり、金融政策の一環としている日銀などとは目的が異なっている。金融政策への影響を避けるために、国債買入とともに同額規模の資金吸収を行い不胎化している。

ここにきてECB内で国債買入れを巡り、トリシェECB総裁とウェーバー・ドイツ連銀総裁の意見の違いが明らかになってきた。ウェーバー総裁は、国債買い取りプログラムは所期の目的を達成できなかったとし、恒久的に廃止すべきだと述べたのである。ウェーバー総裁は来年10月に退任予定のトリシェ総裁の後任としての有力候補である。ECBが直ちに国債買入れを停止することはないと思われるが、ブレーキがかかる可能性はある。

国債買入れを増強している日銀とFRBに対して、このECBの動きも対照的である。国債買入れについて日銀の白川総裁は将来のインフレ予想が強まる懸念があることを指摘した。ここにきての日米の債券市場では将来のインフレリスクを嗅ぎとって、長い期間の債券主体に売り圧力が強まった。日銀とFRBによる国債買入れ増強は足元のデフレ抑制効果はあるかもしれないが、将来へのインフレリスクを強める結果となる可能性もあることに注意すべきであろう。
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by nihonkokusai | 2010-10-26 11:46 | 日銀 | Comments(0)
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