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「2011年度のコアCPI見通しはマイナス回避かとの観測も」

28日に公表される経済・物価情勢の展望(展望リポート)において、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比が包括緩和の効果を織り込んでマイナス見通しを回避する公算が大きいとブルームバーグが伝えた。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=atK2u1Csex.I

複数の日銀関係者によると、10月5日に決定した包括緩和の成長率と物価の押し上げ効果をこれまでの新型オペの拡充などよりも強めに織り込ませるほか、原油相場が再び上昇傾向にあること、10月からのたばこ税率の引き上げや高速道路無料化の遅れなど制度要因も物価の押し上げ要因に働くことなどが、円高による物価の押し下げ効果を相殺するという。このため、下方修正されてもゼロ%にとどまりマイナス転落を回避する見込みとのことである(ブルームバーグ)。

ただし、成長率そのものも下方修正される可能性も指摘されており、それも包括緩和の影響も加味して限定的なものにとどめるのであろうか。そもそも包括緩和がどの程度、景気や物価に影響するのかは今後の動向を見ない限りは明らかではないのではないか。

ただし、2011年度の物価見通しがマイナスに転じれば、日銀が昨年12月に「ゼロ%以下のマイナスは許容しない」と宣言したことや、政府が11年度のプラス転化を目標に掲げていることとの整合性を問われる可能性もあることも確かである(ブルームバーグ)。さらにマイナス転落を容認してしまうと包括緩和政策を実施した意味そのものが問われる可能性もある。

さらに2011年度のコアCPIの押し下げ要因ともなりうる基準年の変更については、その影響を織り込まず注記に留めるとの見方である。前回の基準年の変更の影響については、2006年4月の展望レポートで「前年比上昇率が若干下方改訂される可能性が高い」との注記があった。

また、今年4月における展望レポートでは下記のような注記があった。

「留意点として、消費者物価指数の基準改定がある。すなわち、現行指数は、基準年の2005 年から時間が経ってきたため、指数水準が大幅に低下した耐久消費財のマイナス寄与が小さめに出て、全体では前年比マイナス幅が小さめに出る傾向が強まりつつある。したがって、指数が2010年基準に切り替わった段階で、遡及改定の対象となる2011年1月以降の前年比が、今回の見通しから下方修正されうる。なお、2010年基準への改定時期は、通常どおりなら、2011年夏頃と予想される。その際、2010年12月以前の前年比は遡及改定されない見込みである。」

この基準年の変更については、20日の西村副総裁が講演で次のように触れている。

「消費者物価指数については、やや技術的ではありますが、基準改定の影響にも留意する必要があります。2005年から2010 年への基準年の変更は、来年夏に行われる予定です。一般に、消費者物価指数の前年比は、基準年から先に進むほど実勢よりも強めに算出されやすく、こうした統計上の歪みは、基準改定の際に修正される傾向があります。つまり、来年の基準改定で、消費者物価指数の前年比が下方に改定される可能性が高いということです。その改定幅を現段階で見積もるのは難しいのですが、後から振り返ってみると、消費者物価指数の下落幅は、思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要があります。」

また、会見では記者の質問に対して西村副総裁は次のように発言している

「基準改定を取り入れるか取り入れないかということですが、これは展望レポートの中で明らかにすることですので、私からは前回のケースについてご説明します。前回の場合は、基準改定が実際どのくらいの大きさになるのかに関して、信頼性の高い予測が難しかったということに加え、コミュニケーション上色々な難しさがあるのではないかとの懸念から、前回の基準改定の前の展望レポートには基準改定を取り入れませんでした。今回どうなるかについては、今回の展望レポートにおける政策委員の判断によるということになります」

過去の例からみて、今回、展望レポートにおける2011年度のCPI見通しには、基準年の変更による影響は取り入れない可能性はある。ただし、前回の2006年の際の基準年の変更による影響についてはこの年に量的緩和政策の解除(2006年3月)、またゼロ金利政策の解除(2006年7月)を行っていた点にも注意は必要となる。それぞれの解除要件を満たすためには基準年変更の影響は取り除いておく必要があった。

西村副総裁の発言からは、基準年変更の影響については政策委員の判断に委ねるとしており、「思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要がある」との発言からは、西村副総裁自らはその影響を取り入れる可能性があるのではないかと思われる。それに対して包括緩和の効果を見通しにも示す必要性を強く意識している日銀関係者もいるとみられ、このあたりの意見統一をどのようにはかるのか。それとも本当に基準年変更の影響は政策委員各自の判断に委ねるのか。このあたりの動きにも注目してみたい。
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by nihonkokusai | 2010-10-25 11:28 | 日銀 | Comments(0)
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