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「消費者物価指数の基準年の変更による影響」

10月20日の西村清彦副総裁による広島県での講演の内容が日銀のサイトにアップされ、昨日はその脚注にあった「フォーキャスト・ターゲッティング」を取り上げたが、もうひとつ重要が箇所がやはり脚注に潜んでいた。これは消費者物価指数に関する以下の脚注である。

「消費者物価指数については、やや技術的ではありますが、基準改定の影響にも留意する必要があります。2005年から2010 年への基準年の変更は、来年夏に行われる予定です。一般に、消費者物価指数の前年比は、基準年から先に進むほど実勢よりも強めに算出されやすく、こうした統計上の歪みは、基準改定の際に修正される傾向があります。つまり、来年の基準改定で、消費者物価指数の前年比が下方に改定される可能性が高いということです。その改定幅を現段階で見積もるのは難しいのですが、後から振り返ってみると、消費者物価指数の下落幅は、思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要があります。」

この消費者物価指数の基準年の変更による影響については、岩田一政前副総裁が著作の「デフレとの闘い」で次のように述べている(221ページ)。

2006年8月の消費者物価指数の基準年の変更について「私は、過去において改定ごとに改訂幅が拡大傾向にあることに鑑みて、0.3-0.4%程度の下方修正を見込んでいた。日本銀行内部では0.2-0.3%の下方修正を見込む向きが多かったように思う。しかし、実際には。薄型テレビ、DVDレコーダ、携帯電話などデジタル製品が新たに採用され、品目ごとに価格指数を算出するモデル式の変更(電話料金関連での引き下げ)や品目別ウエートの変更(デジタル式カメラ)も重なり、結果的にはより大幅の0.5%の下方修正が行われた」

10月28日には展望レポートが発表されるが、この中で実質GDPが下方修正されるとともに、コアCPIについても下方修正されるとみられ、特にCPIについては基準年の変更による影響が加味されるのかどうかも注目される。なぜならば包括緩和の解除条件がCPIをターゲットにしているおり、見通しが下方修正されればその分、ハードルが引き上げられることになるためである。もちろん「フォーキャスト・ターゲッティング」となっている点に注意する必要もあるが。

みずほインベスターズ証券の落合チーフマーケットエコノミストは、この消費者物価指数の基準年の変更による影響等に関して以下のような分析を行っている。

「来年7月に発表される6月分までは2005年基準であり、4月分からは公立高校授業料無料化の影響が剥落して0.5%程度上方にシフトするため、瞬間的にコアCPIがプラスになる可能性が多少ある。しかし、8月に発表される7月分からは2010年基準が公表され、5年前の例に倣えば0.4%の下方シフトが起きてコアCPIは再びマイナス圏に沈む。さらに10月からタバコの増税によるプラス寄与が剥落してさらに0.2%下方シフトする。こうして、2011年後半には再び0.5%以上のマイナス圏で推移することとなり、物価安定の理解である1%を展望する状況には至らないだろう」

来年の消費者物価指数の基準年の変更による影響については、現状では0.3%から0.4%程度の下方シフトが起きる可能性が予想される。昨日の会見ではこれについて西村副総裁は、これを展望レポートの見通しに織り込むかどうか明確なことは言えないとし最終的には各委員の判断と述べたそうだが、政策委員によって織り込む織り込まないとバラバラとなっては整合性がとれないため、織り込むことを前提に見通しを出すのではないかと思われる。

ちなみに今年7月の展望レポートの中間レビューにおける2010~2011年度の政策委員のコアCPIについての見通しは、2010年度がマイナス0.4%、2011年度がプラス0.1%となっていた。これには高校授業料無償化の影響(0.5%程度)は勘案されていない。少なくとも2011年度の見通しはマイナスとなる可能性は高いが、どの程度のマイナス幅となるのか。そのあたりのさじ加減(?)にも注目したい。
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by nihonkokusai | 2010-10-21 12:34 | 日銀 | Comments(0)
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