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「通貨安競争にブレーキがかかるのか」

22日から韓国の慶州で開く20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、通貨安競争回避に向けてフレームワークと呼ばれる政策協調の枠組みを検討すると伝えられている。このG20を前にして早速動きが出てきている。

ガイトナー米財務長官は18日にカリフォルニア州の講演で、米国は強いドルへの信認を維持するとし、通貨切り下げ競争に加わることはないと表明した。米国では11月のFOMCでの量的緩和策の拡大(QE2)観測が強まり、FRB関係者の講演内容などが注目されていたが、久しぶりに財務長官の発言が市場にインパクトを与えた。FRBの追加緩和もドル安政策の一貫とも捉えられることで、ガイトナー発言はG20を控えて、いまさらながらではあるが、米国が通貨安政策へ傾倒していないという姿勢を示したものと思われる。

そして、昨日、中国人民銀行は2007年12月以来となる利上げを実施した。8月の中国CPIが前年同月比で3.5%の上昇となるなどインフレ懸念をその理由としている。しかし、18日の講演でガイトナー財務長官は、中国の人民元は大幅に過小評価されているとして一段の切り上げ努力を求めていたが、G20を前にして利上げを行うことで米国からの人民元問題に対処したようにも取れる。

そしてユーロについても通貨安修正のような動きが見えた。ドイツ連銀のウェーバー総裁はECBによる国債購入は効果がないとして恒久的停止に向け段階的に縮小をと措置廃止を公然と要求したのである。こに対しトリシェECB総裁は「それは理事会の多数派の意見ではない」として突っぱねたそうである(10月20日付日経新聞)。

タカ派中のタカ派ともみられているウェーバー総裁は8月に、ECBの緊急融資措置を解除する時期を決定するのは、年末越えの流動性確保で市中銀行を支援した後の来年1~3月にすべきと発言した。これは金融緩和策の長期化を示唆したと受け止められ、これによりユーロ安が進行した経緯があった。あのウェーバー総裁までもユーロ安政策に加担かともみられていたが、どうやらここにきて本来のタカ派の姿勢に軌道修正することで、通貨安政策への避難を逸らしてきた可能性がある。ちなみにウェーバー総裁は次期ECB総裁の有力候補である。

こういった一連の動きの中、白川日銀総裁は朝日新聞の単独インタビューで景気が悪化した場合は基金増額は有力な選択肢と述べ、追加の量的緩和に踏み切る考えを示唆した。G20を前にして各国がそれとなく通貨安政策回避の動きを示しているにもかかわらず、円高回避を意識しての追加緩和への姿勢を見せてしまったことは、少しタイミングが悪かったように思われる。ただし、各国の通貨安政策により最も被害を被ったのが日本でもありそれを考えれば致し方ないことかもしれない。また、昨日にFRBの複数の当局者も追加緩和、つまりQE2が近いことを示唆するなどしており、白川総裁だけを責めるわけにはいかないか。

いずれにせよ、今回のG20の動向には今後の為替の動き予測する意味でも、一段の注意が必要となりそうである。
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by nihonkokusai | 2010-10-20 11:14 | 国際情勢 | Comments(0)
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