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「日銀短観を受けての追加緩和というよりも、委員それぞれの意見を明確に出すべき」

日銀は9月29日に短観を発表した。大企業製造業DIは足元はプラス8と6期連続で改善となり、これはほぼ予想に近いながら、12月予想はマイナス1とやや予想を下回った。業種別に見ると大企業のうち自動車が足元プラス32に対して12月はマイナス6と大幅に落ち込む見通しとなっている。エコカー減税・補助金による改善の反動に加え、欧米などの景気減速への懸念、また円高などの影響などを想定してのものとみられる。石油・石炭製品についても足元のプラス26から12月はマイナス7に落ち込む予想となっている。また、2010年度の大企業・全産業の設備投資計画についても前年度比プラス2.4%と前回調査のプラス4.4%から下方修正された。日銀が金融政策を決定する上で最も重視しているとみられるのが、日銀が自ら集計し発表している短観であり、これにより追加緩和をする理由付けができたこととなる。

またここにきて円高圧力が再び強まっている。9月15日に為替介入を実施しドル円は86円近くまで取るが戻されたが、その後、米国での追加緩和の可能性の高まりや、欧州での財政悪化懸念などから、再び円買い圧力が強まりドル円は84円を再び割り込んできている。今後は介入が実施されたとしても、初回ほどの効果はなくなりドルの戻りは限定的になるとみられる。ちなみに短観での為替の想定レートは89円66銭となっている。

さらにFRBによる追加緩和観測もあることで、10月4日から5日にかけて開催される金融政策決定会合での追加緩和の可能性が高まったと言えよう。日経新聞の電子版ではさっそく「金融緩和の材料でそろう」との記事を出している。しかし、今回の日銀への追加緩和の期待は、過去にもあったように政府発マスコミ経由により醸しだされたものと見える。24日の白川総裁辞任の噂などがそれを示している。

確かに日銀は必要と判断される場合には適時適切に対応して行くとしており、追加緩和の可能性は排除していない。ところが、米FRBのように追加緩和に向けての前傾姿勢をとってきているわけではない。特に政府が期待しているとみられる国債の買入増額については、26日に神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会の講演で否定的な発言をしている。そうは言っても、すでに期待感が市場でも強まってしまっている以上、もし追加緩和をしなければ結果として円高圧力を強める結果ともなりかねない。

しかし、追加緩和を行うにしてもすんなりとすべきではないのではないか。日銀がどうしてもここは追加緩和すべきと政策委員が全員同意見であるのならば、それはそれで良いが、少しでも意見を異にする委員がいるのならばその意見を表に出しても良いのではないか。

今度の追加緩和は新型オペのさらなる拡充などこれまでの追加緩和策の延長線にあるものをしてくる可能性が高いとみられている。しかし、国債買入含めて量的緩和策再導入も行っても良いのでは思う委員がいるのならば、それを議事提案すべきではなかろうか。また反対に今回の追加緩和策についてその効果が認められないとする意見の委員がいれば、8月30日の臨時会合での須田委員のようにはっきりと反対の意思表示を示すべきである。

また、現在の議長提案という投票システムでは無理かもしれないが、総裁自らが反対意見に回るようなこともあっても良いのではないか。こうすることにより、それぞれの委員の特色が出て、それぞれの発言にさらに重みが増す。これによりマスコミや政府関係者からの金融政策への意見ではなく、それぞれの日銀の委員の意見をより注視するようになるはずである。そうすれば次の金融政策の行方を占うという日銀ウォッチの本来の姿に戻ることができるのではないか。もし異なる意見を持つ委員がいるのならば、ぜひその意見に基づいて票を投じてほしい。
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by nihonkokusai | 2010-09-29 15:35 | 日銀 | Comments(0)
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