「まず財源ありきの補正編成に経済効果はあるのか」
次期臨時国会は10月1日招集、会期末は12月上旬の予定となっており、10月下旬の補正予算案の提出を想定しているとか。
補正財源については、2010年度予算の国債費の不要分の約1兆円、2009年度の決算剰余金約1.6兆円、今年度税収の見込みからの上振れ分の約2兆円などが見込めると、玄葉国家戦略相は説明をした。
2009年度決算剰余金は1兆6246億円であるが、財政法(六条)でその二分の一を下らない金額を翌翌年度までに国債の償還財源に充てなければならないと定められている。このためこれにより使うことが可能なのは8123億円となる。ただし、特例法を制定すればその限りではない。しかし、本来は国債の償還財源に充てるべきものを補正予算で使うとなれば、それは国債を増発させるのと同様である。
今年度税収の見込みからの上方修正分については3兆円との報道があったが、税収の上振れ分の3割程度は地方交付税交付金に回ることになるため、それを差し引くと約2兆円規模ということになるようである。
いずれにしても新規の国債増発は避けるとしても、本来ならば国債の発行抑制に回しても良いはずの4.5兆円規模を経済対策に回そうとの考え方は、規模の議論が先行するなど、まさに以前の自民党政権下と同様の考え方である。ねじれ国会を意識しての動きとも思われるものの、余った金は今後の選挙や支持率アップに向けて、さらには外交の不手際から国民の目を逸らさせるために、思い切って使いきってしまおうとの思惑かとも勘ぐってしまう。
しかし、これはいくら国債を増発しない結果となろうとも国債発行抑制とは言えまい。さらに金額ありきの対策では自民党政権下の際の経済対策と同様に効果は限られたものとなろう。補正予算の編成の内容を見ても、バラマキ型としか見えないように感じる。それでなくとも年々、予算規模が大きくなる社会福祉を重点に置くことは、むしろ今後の歳出削減を難しくさせる要因ともなるのではなかろうか。まず財源ありきの補正編成では経済効果は限定され、むしろ債務規模拡大効果が大きいように感じるのだが。