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「白川日銀総裁の辞任の噂の背景は何か」

24日に外為市場あたりから日銀の白川総裁の辞任の噂が流れた。あくまで市場の噂であり、あまり真剣に受け止めるものはいなかったようだが唐突に出た感のある噂だけに、念のために注意も必要かもしれない。

過去の日銀総裁を振り返ると、一連の大蔵省・日銀における接待汚職問題で1998年に松下康雄総裁が監督責任を問われ辞任した。その後、就任した速水優総裁も2001年3月に量的緩和策に踏み切ってすぐの4月に、政府関係者に辞意を伝えたとの報道があったが、結局、辞任はせずに任期を全うした。次に総裁となった福井俊彦氏も村上ファンドへの投資問題での辞任観測があった。結局、福井氏も任期を全うしたが、日銀総裁への風当たりは予想以上に強いとみられ、日銀総裁の辞任観測はついてまわるもののようである。もちろん、どこかの国の首相のように簡単に責務を放棄するようなことはなかったが。

それはさておき、今回の白川総裁の辞任の噂については、根も葉もない噂である可能性も高い。しかし、ある意味、唐突な噂であっただけに火のないところに煙はたたないとの格言にも注意する必要がある。

それではもし、もしも仮に白川氏がほんの少しでも辞任する意思を持ったとすればその要因は何なのであろうか。ここにきて変化があったとすれば、政府による為替介入の実施である。円高対策のために、日銀は次の手も期待されている。米FRBなどは自国通貨安を意識しての動きを見せてきており、日銀も今回の為替介入については、さすがに非不胎化という非現実的な手段への言及はしなかったが、介入資金を利用しながら潤沢な資金供給を行っていることを表明した。これもアナウンスメント効果を意識したものであろう。しかし、市場ではさらなる緩和策への期待も強まりつつある。特に米FRBが国債買入を拡大する可能性が出てきたことで、日銀の国債買入増額の可能性を指摘する声も強い。

ただし、白川総裁は26日に神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会の講演で、円高が日本経済に与える影響や経済の下振れリスクを注視しているとして、必要があれば適切な対応を講じるとの考えを示したものの、国債買い入れの増額については財政ファイナンス懸念から長期金利上昇につながるリスクを指摘し、通貨や金融システムの信任維持のためにも財政バランス維持が重要だと強調した(ロイター)。

白川総裁は、国債買い入れについて、諸外国の中銀では非伝統的政策と位置付けられているのに対して、日銀では通貨供給の主要手段と位置づけられ、伝統的政策そのものになっていると指摘し、中央銀行による国債買い入れが財政ファイナンス、いわゆるマネタイゼーションを目的としているとみられる場合、将来のインフレ予想から国債金利が上昇すると指摘した。また、通貨や金融システムへの信任は究極的には政府、ソブリン国家への信任に支えられているとして、中長期的な財政バランスを維持することの重要性を強調。さらに、政府が中央銀行の通貨発行によるファイナンスという手段に自由にアクセスできるようになると、通貨の過剰発行によるインフレの危険がある。各国ともそうした危険を歴史の経験から学び、その結果、多くの国で中央銀行による財政の直接ファイナンス、すなわち、国債引き受けが禁止されていると述べた(ロイター)。

まったくの正論である。しかし、そうは言うものの日銀ができる追加緩和策には限度があることも事実である。政府による為替介入、そして追加の経済対策に呼応して日銀も何かしら動かざるを得ない状況に追い込まれやすいが、その際に何を選択できるのか。ここは白川総裁にとり辞任を考えなくてはならないようほどの状況ではないとしても、かなり悩ましい状況にはある。

小沢氏がもし民主党代表選に勝利したならば日銀法改正に向けた動きも出た可能性はあったが、菅氏の続投でその可能性は弱まった。しかし、為替介入を決断してしまった政府は何かしら日銀にもしてもらわなくては困るというところでもあろう。さらに政府は対中国との関係悪化という問題を抱えてしまっており、円高対策などを日銀に押し付けてくる可能性もないとは言えない。

もしほんのわずかでも日銀総裁の辞任の噂に何かしらの根拠があるとすれば、このように政府との関係によるものと考えられる。また、日銀内部での特に執行部内での意見の相違といった可能性もないとは言えない。はっきりとした根拠はないものの、阿吽の呼吸とも言われた山口副総裁と微妙に意見の違いも出てきているように感じるのは私だけであろうか。

なにはともあれ、白川総裁の辞任の噂はあくまで噂であってほしいし、上記の観測はあくまで、もしもを仮定した個人的な憶測である。
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by nihonkokusai | 2010-09-26 17:29 | 日銀 | Comments(0)
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