「不胎化されるまでタイムラグを利用」
2003年から2004年にかけての大規模介入に際しても同様の措置が講じられていたが、当時、日銀は量的緩和政策という日銀の当座預金残高そのものをターゲットにする金融政策を行っていた。日々の大量の金融調節の中にあり、本来は介入資金だけを色分けすることはできないものの、介入分でFBで吸収されなかった資金分を当座預金残高に積み上がげておけば、緩和効果と形式上はなりうる。
ただし、当座預金残高が増加した要因が介入資金によるものなのか、それとも別途期末要因とかであるのか峻別することは難しい。これについては野田日銀審議委員が16日の会見で下記のように発言している。
「介入資金は一時的には金融市場への資金の供給要因になるということは、ご指摘のとおりだと思います。したがって日本銀行としては、この介入資金の活用も視野に入れながら潤沢な資金供給を行っていくことになるのではないかと、個人的には、かつ現時点では考えています。ただ、だからといって介入額が、そのまま日本銀行の当座預金残高の増加にストレートに結びつくと考えているわけでもないということも、申し上げておきたいと思います」
また、現在の日銀の金融政策は、政策金利である無担保コール翌日物金利を0.1%近辺に誘導することであり、さらに当座預金残高の超過準備分には政策金利と同じ0.1%の補完金利が付いている。この状況下にあっては、擬似的な量的緩和策により当座預金残高を多少増加させようとも緩和効果そのものは限定的である。
このため今回の財務省による不胎化されるまでタイムラグを利用する措置についても、あくまでアナウンスメント効果を意識し、市場心理(この場合の市場には短期金融市場は含まれないと思われるが)に働きかけようとするものであろう。