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「為替介入と日米の追加緩和観測と長期金利の行方」

14日にウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、ゴールドマン・サックス・グループが、FRBは早ければ11月にも新たな資産買い入れプログラムを発表する可能性があるとの見通しを示したと伝えた。WSJによると、ゴールドマンのチーフエコノミスト、Jan Hatzius氏が新たな買い入れプログラムについて、「9月21日の会合では予想していないが、11月または12月には発表される可能性がある」と述べ、約1兆ドル規模の米国債を買い入れる公算が大きいとの見方を示した。(ロイター)。

これを受けて14日の米国債券市場では、前日に一時2.85%まで上昇していた10年債主体に買いが入った。10年債利回りは前日比0.090%低下の2.67%に、2年債利回りは同-0.040%の0.50%、30年債利回りは同-0.07%の3.78%にそれぞれ低下した。

FRBの追加緩和観測とそれを受けての米長期金利の低下などから外為市場ではドルが売られ、ドル円は一時82.92円と83円を割り込み、ユーロドルも1.3033まで上昇した(ロイター)。

果たしてゴールドマンのチーフエコノミストによるFRBのバランスシート拡大の可能性はあるのであろうか。それを裏付ける何かしらの情報を握っての発言なのか、それともあくまで推測の域を出ていないのか。

8月24日に米10年債利回りは2009年以来で初めて2.5%を下回ったが、その後は上昇基調となり13日には一時2.85%に上昇している。日本の10年債利回りも8月25日に0.895%と0.9%を割り込んでから9月7日に1.195%と1.2%に接近した。それぞれ絶対水準は違えども、0.3%程度の水準調整が行われたこととなる。

円債の水準調整についてはこれまで言及していたように、小沢氏の民主党代表選出馬表明をきっかけとした財政悪化を意識しての売りがきっかけであり、史上三度目となった長期金利1%割れというバブル相場の反動という面が強かった。それに対して米債の調整については、一部、好調な経済指標の発表などを受けて極端な米経済への悲観論が後退し高値警戒も相まっての水準調整であった。

そんな中にあっての民主党の代表選の結果での菅氏の勝利と、米FRBにより追加緩和観測とそれを受けての円高ドル安は目先の債券相場の転機を示しているとも言える。ユーロに対してはさほど円高とはなっていないものの、ここにきてユーロが静かになっているが、なんらかのかたちでギリシャ問題などが蒸し返されてくる可能性もある。少なくともドル円は83円を割込むなどしており、政府や日銀に対して何らかの対応策が求められ、そのひとつの結果が2004年3月以来となる為替介入であった。

このコラムを書いている最中に単独での日本政府による為替介入が実施された。介入は2004年3月16日以来となる。ドル円は82円90銭近辺から84円台へとドルが大きく上昇した。介入を始めてしまったことにより、当初は効果があれども、一度始めると止められなくなり、投機筋の格好な餌食にされむしろ円高がさらに進行する危惧がある。このあたり過去の介入時の状況を当局はあらためて確認しておく必要もあろう。また、介入資金のためのFB発行増なども意識しておく必要がある

欧米はこれまで実力行使というよりもアナウンスメント効果を意識して自国通貨安を演出してきたが、日本はついに実力行使を始めたことで、欧米当局が不快感を示す可能性もある。いや、むしろ過去の経緯から、これを黙認し介入すればするほど円高進行する状況を見てみることにするのかもしれない。

政府が動いたこともあり、日銀にも追加緩和圧力がさらに加わる可能性は否定できない。しかも、8月30日の会合で新型オペの拡充策を打ち出したばかりであり、別な手段を講じる必要がある。その選択肢としては国債買入増額などが視野に入る。

介入当初はさすがに円安が進み、株式市場にも好影響を与えることにより、債券相場はいったんは上値が重くなろう。しかし、その介入の効果も薄れると日銀へのプレッシャーの強まりにより、再び長期金利に低下圧力が加わる可能性がある。もしFRBによる米国債の買入拡大の実現性が高まれば、米長期金利にも低下圧力が加わろう。

いったんは上昇基調となった日米の長期金利は再び、目先つけた0.9%割れと2.5%割れを試す可能性もないとは言えなくなってきた。日本の財政問題は菅氏の続投により、急激に悪化するリスクが抑えられたに過ぎず、今後は「菅さんでも売り」となる可能性も否定はできないと昨日のコラムでは書いたが、その前にもう一度、債券バブルが復活する可能性も見ておく必要がある。
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by nihonkokusai | 2010-09-15 11:14 | 債券市場 | Comments(4)
Commented by 株式勝男 at 2010-09-15 12:13 x
やっと為替介入をやってきましたね。 これでトレンドが反転すると良いのですが?

分かりやすくて良いサイトですね! 勉強になります。

Commented by nobinobi at 2010-09-15 12:52 x
少なくともこの記事を読む限り、ドル安のトレンドは変わらないでしょう。スイスの例もあります。ドルの売り場を提供するだけでは?
Commented by nihonkokusai at 2010-09-15 12:53
コメント、ありがとうございます。これを書いている最中での為替介入だったので、途中いろいろと付け加えているうちに、いつもより長くなってしまいました・・・。
Commented by nihonkokusai at 2010-09-15 12:54
nobinobi さんのご意見に同感です。介入はむしろ逆効果、しかも防衛ラインまで明かしてしまうなど、あまり上手な介入とも言えませんし。
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