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「財政法第五条の意味」

財政法第五条には「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」とある。

財政法ではこのように日銀による国債引き受けを禁じている。これについては先刻ご承知のとおり、高橋是清蔵相による日銀の国債直接引き受けの実施が、戦後のハイパーインフレをもたらしたことの反省によるものである。

もう少し詳しく言えば、高橋是清蔵相による日銀の国債直接引き受けは、途中で歯止めをかけようとした高橋蔵相自身が二・二六事件で暗殺された。さらにその後の軍事費拡大にも歯止めがかけられず、その結果として戦争拡大とその後の敗戦、さらにハイパーインフレを迎え庶民の生活を直撃することとなった。

9月9日の参院の参院の財政金融委員会で、質問に立った「たちあがれ日本」の中山恭子議員は、デフレを克服するためとして、財政法で禁じられている日銀の国債引き受けを主張した。財政法第五条の「特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない」点を主張したのである。

デフレ解消という「特別の事由」のためには禁じ手も使うべきとの主張であるが、そもそも日銀が国債を直接引き受ければ、どのような経緯でデフレが解消されるのかという説明が全くなされていなかった。

そもそも財政法第五条では原則として国債の日銀による直接引き受けは禁じられているのであり、その経緯を財務官僚でもあった中山議員が把握されていないとは考えづらい。それにも関わらず、デフレ解消のためと称して日銀による国債引き受けを主張されるのか納得がいかない。

デフレ脱却議連と称してデフレ解消のために日銀を追い込むことしか考えていないような方々もいるが、中山議員も同様の考えを持っているのか。お札を刷ればデフレは解消すると簡単に考えていたとグリーンスパン前FRB議長も著書で反省していた。実際に現場に立ち、責任ある立場にいると自ずとやれるものとやれないもの、やって良いものとやって悪いものが見えてくる。バーナンキ現FRB議長が持論のインフレターゲットを封印しているのもそのためであろう。

中山議員は大蔵省で女性初の課長に昇進したことでも有名である。その時の肩書きは理財局国有財産第二課長であったそうである。国の財政に関して責任ある立場にいたにも関わらず、財政法の基本原則を破ってまで日銀による国債引き受けを主張するというのならば、それなりの信念と責任をもっての発言であろう。それならばどのようにデフレを解消させ、さらにいったん始めた日銀の国債引き受けをどのようにストップさせることができるのかを明確に示す責任がある。
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by nihonkokusai | 2010-09-09 17:04 | 国債 | Comments(0)
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