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「失われた20年で、増加した公債残高は約471兆円」

9月7日付の日経新聞に、バブル崩壊後の1991~2010年度の「失われた20年」で、国の社会保障費が累計で148兆円増える一方、税収は211兆円も減ったとする分析を財務省がまとめたとの記事があった。

そのまとめた分析とは、財務省の発行している下記のパンフレットの一部(パンフレットの10ページ「公債残高の増加要因」)に掲載されている。この資料は日本の財政の内容を要領よくまとめられていたものであり、一読をお勧めしたい。

「日本の財政関係資料」、http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014_22.pdf

財務省のこの資料によると「特例公債の発行から脱却することのできた平成2年度以降の公債残高の累増について見てみると、歳出面では、90年代は公共事業関係費の増加が主要因でしたが、近年では高齢化の進行等に伴う社会保障関係費の増加が主要因となっています。また、歳入面では、景気の悪化や減税による税収の落ち込みが主要因となっています。

ちなみに特例国債とは一般に呼ばれる赤字国債のことであり、1990年度はバブル経済で税収が戦後最高の60.1兆円に達したことで赤字国債はハ行されなかったが、それは一時的であり、1991年以降は公債残高は「失われる」どころか増加し続けることとなる。まさに増加し続けた20年と言える。

91年度以降2010年度にかけて、国債発行残高増加額は約471兆円となっている。この中には旧国鉄債務の継承などによる増加分の53兆円も含まれるため、これらを除くと実質的な増加は361兆円になる。

471兆円のうち、歳出の増加分が約192兆円増加し、税収等の減少要因が約169兆円となっている。

さらに歳出の増加には社会保障関係費が約148兆円、公共事業関係費が約62兆円増でほとんどを占めている。年代毎に見てみると1990年代では経済対策のための公共事業などが増加要因となっていたが、2000年代あたりからは社会保障費が急激に増加していることがわかる。

特にここ数年の増加が大きく、2010年度も高齢化に伴う自然増や基礎年金の国庫負担割合引き上げ、子ども手当の創設などが重なっての増加となった。社会保障関係費はほぼ一貫して増え続けているが、地方交付税や教育関係費、防衛費などをあわせたその他歳出は累計18兆円の減少となっていた(一部、日経記事より)。

税収など歳入面では、税収が211兆円も減少し、税外収入は41兆円増えた。税収減は景気低迷による影響に加え、たび重なる減税も影響した。税外収入は特別会計の埋蔵金活用などで伸びているものの、税収減を補うには至っていない(一部、日経記事より)。

この資料を見ても、日本の財政健全化を進めるには歳出と歳入両面での改革が必要になる。今後も伸びが予想される社会保障費に対して、税収がこのまま落ち込みを続ければ国債への依存度はますます大きくなりかねない。社会保障費の抑制と税収改革はこれを見ても急務と言わざるを得ない。

14日の民主党代表選はすなわち日本の首相を決める選挙ともなる。両候補がこの日本の財政の現状をどう理解し、どのような打開策を練っているのかも注目していく必要がありそうである。
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by nihonkokusai | 2010-09-07 11:24 | Comments(0)
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