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「過去の長期金利の1%割れ(その3)」

次に長期金利が1%割れとなったのが、手元の記録によると2002年10月31日である。当時の様子を私のコラムや著作の原稿から追ってみた。

2001年4月以降、それまで売っていた都銀が買いに転じ、じりじりと債券相場は反発した。デフレが長期化するといった見通しから、期間の長い債券が買われだしたのである。9月13日には10年国債の金利は1%ちょうどまで低下した。

ところが、9月18日に日銀が銀行保有の株式を購入すると発表したことで、日銀の資産劣化が懸念され、債券先物はストップ安となった。また、その翌々日の20日の10年国債入札において、10年国債としては初めての札割れが発生し、10年国債の金利は1.3%台まで利回りが上昇したのである。

しかし、デフレといったファンダメンタルズに変化はなく再び債券相場は反発した。10月30日に日銀は金融政策決定会合において、政府の総合デフレ対策に呼応して追加緩和策を決定した。国債の買い切りの額を月1兆円から1兆2千億円に増額。また、日銀の当座預金残高目標値を15~20兆円に引き上げた。また、手形買い入れ期間を従来の6か月以内から1年以内に延長した。政府の総合デフレ対策は、当初の竹中案からはやや後退したものとなったことに加え、日銀が追加緩和を実施することで、短期金利が低下し、長期金利も低下。その結果、31日に10年国債の利回りは、1998年以来の1%割れとなったのである。

2003年5月のりそな銀行に対する資本注入によって、政府は大手銀行は潰さないといった意識も強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われ、海外投資家の買いなどにより、日経平均株価は2003年4月の7607.88円がバブル崩壊後の安値となり、米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めた。

2002年6月までは債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続けた。JGB先物は限月移行があったため中心限月の高値は10日の145円09銭となったが、現物債は11日に30年で0.960%、20年で0.745%、そして10年0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。

この相場上昇過程において、目立ったのがメガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出した。

しかし、これもいわゆる債券バブルに近いものとなり、6月17日に日経平均株価が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなり、大手投資家などが超長期国債の購入を手控えたことをきっかけにして、債券相場が急落したのである。のちに「VARショック」と呼ばれた債券相場の急落である。2003年6月から8月にかけ、長期金利は0.430%から1.550%にまで急上昇したのである。

この債券相場の急落の背景としては、株価の上昇とそれを裏付けるような好調な経済指標が出てきたことで、景況感の変化によるものも当然大きかった。しかし、下げを加速させたのもVARであった。債券急落に伴い変動幅が今度は異常に大きくなり、銀行のリスク許容度が急速に低下。必要以上に売りを出さざるを得なくなったことで、下げが加速されたのである。
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by nihonkokusai | 2010-08-26 12:41 | 債券市場 | Comments(0)
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