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「現代のバーチャル通貨戦争」

近隣窮乏化政策とは、自国の為替レートを切下げることにより、輸出を増やすことにより景気回復を図ろうとするもの。1930年代の世界恐慌期において、世界の列強は意図的に為替相場を切り下げることによる近隣窮乏化政策を行なったものの、所詮はゼロ・サム・ゲームであることにより、他国の報復を招き第2次世界大戦を引き起こす契機となったとも言われている。

リーマン・ショックという大きな金融経済の打撃を受けたものの、欧米諸国は金融緩和とともに大規模な財政出動によって大恐慌の再来は免れたものの、景気回復はままならず、欧米では意図したかどうかはさておき、現代の近隣窮乏化政策を取り始めているとも言える。

サブプライム問題やリーマンショックの本拠地であった米国のドルが売られたものの、実はその打撃を一番受けたのが欧州であったことに加え、ギリシャの財政問題などにより今度はユーロ安が進行し、ドイツなどはこのユーロ安の恩恵を大きく蒙った。

しかし、これに対して米国はFRBを中心に景気悪化を意識する発言を繰り返し、さらにデフレを懸念するようなレポートなどを出したり、結果としては量的緩和拡大ではないものの追加緩和策としてアナウンスメント効果を意識した政策を行ったことで、結果としてドルを下落するよう仕掛けてきたようにも思える。

これに対して、実際にはリーマン・ショックによる経済への打撃を最も被ったはずの日本では、特に為替に対しての戦略は取らず、日銀も景気に対しては回復基調との認識を維持した上で、金融政策については現状維持とし、その結果として日米金利差の縮小から、円高が進行するといった構図になっている。

この円高に対し、政府・日銀はやっと対策に乗り出そうとしている。しかし、その手段は財政出動の伴なう経済対策や追加の金融緩和、さらに為替介入などがピックアップされている。

しかし、欧米では特に実弾での対策を仕掛けているのではなく、市場を意識しての心理戦を仕掛けているように思われる。それならば、日本でも無理に実弾を使わずに、心理戦で対抗手段を講じたらどうであろう。

対ドルについては米国経済以上に日本経済が悲観的であるようにアピールし、先行きの景気見通しについても市場参加者には悲観的なイメージを植えつける。ただし、マスコミなどによる景気回復のための実弾要求に対しては、財政悪化を理由に身動きがとれないことをことさらアピールすることで、財政悪化による円安をも誘導させる。

日銀はバーチャルな金融緩和策には過去に実例がある。つまり再び量的緩和政策を導入し、リザーブ・ターゲットを行ない段階的に日銀の当座預金残高を引き上げることで、追加緩和策をアピールする。うまくすれば日銀総裁の写真がタイムの表紙を飾れる。

量的緩和による経済実態への効果の有無などさておき、それで市場が円安で反応するのならば間接的には効果はありうる。そして国債買入増額も求められようが、それには慎重姿勢をとりながらも、将来いずれかのタイミングで財政悪化により日銀への国債買入増額が求められることになるとして、今のうちに日銀券ルールという社内ルールも取り外した上で、増額を実施しておくことも。ただし、これは将来のインフレを招き兼ねないとしての警告も忘れないように。円安にするならば何でも使えるものは使う必要がある。

為替介入については辞めたほうが良い。単独介入では効果はないことに加え、ヘッジファンドの標的にされる懸念もある。ただし、レートチェックなどは適時行ない、いつでも出撃てきる体制にあることを市場に浸透させておくことも重要である。

以上はあくまで私の妄想の範囲内のものであり、実行しろと提言するものではもちろんない。しかし、市場心理を意識して政策を取ることは今後も重要であり、そのあたりFRBなどはうまくやっているように思えることも確かである。
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by nihonkokusai | 2010-08-18 12:30 | 国際情勢 | Comments(0)
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