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「米国の追加緩和の可能性」

8月6日に発表された7月の米雇用統計によると、失業率は9.5%と前回と変わらずとなったが、非農業雇用者数は前月比13.1万人減となり、予想の8.7万人程度よりも減少した。注目された民間部門の雇用者数も7.1万人増に留まり、予想の8.3万人程度よりも少なかった。

3日付のWSJが、FRBは今月10日のFOMCで保有モーゲージ債(MBS)の償還資金を再投資し、バランスシートの規模を維持することを検討と報じた。バーナンキFRB議長も追加緩和の手段として明確な時間軸の導入や超過準備預金の付利金利の引き下げとともに、MBSの償還資金の再投資の3つを指摘していた。

さらにブラード・セントルイス地区連銀総裁は先日発表した論文(Seven Faces of The Peril)で、米連邦公開市場委員会(FOMC)の(声明にある)長期間との文言は、米経済が日本のような結果(デフレ)に陥る確率を高めている可能性がある」とした。さらに「米国の量的緩和政策は、そのような結果を回避するうえで最善の措置」と指摘した。つまり、一段の米債買い入れを検討すべき、との見方を示した。

米雇用統計の内容が事前予想よりも悪かったことで、10日のFOMCで追加緩和観測が強まり、その内容として米国債の買入という量的緩和政策が検討されるのではないかとの観測が強まっている。

しかし、現時点での米国追加緩和の可能性はそれほど高いものなのかは、疑問である。ルービン、オニール両氏が米経済は緩やかに改善する見通しであり、新たな財政刺激策を講じたとしても恐らく効果は見込めないとの見解を明らかにし(ブルームバーグ)、市場ではあまりに楽観的な見方過ぎるとの声もあった。しかし、市場の見方があまりに悲観的すぎる、もしくはFRBの追加緩和への期待度が高すぎるとも言えまいか。

ここにきて発表されている米経済指標は、良いものもあれば悪いものもあり、それにより米株式市場は一喜一憂し、上げ下げが繰り返されてきている。市場でも景気の先行きについては、あくまで不透明感の強さは感じるものの、急激な悪化や二番底を本格的に懸念すべき状況でもない。6月のFOMC以降、追加緩和を行うような状況に本当に追い込まれているのか。米国の金利動向を見ても、追加緩和期待が背景にあるとは言え、すでに2年債など一時0.5%割れとなり過去最低水準にまで低下しており、追加緩和により、さらなる金利の引き下げを通じて民間金融環境の改善を促す必要性があるのであろうか。

今回のFOMCでは、追加緩和の検討が議論される可能性はあるものの、実際には現状維持とされる可能性もありうる。追加緩和への期待だけでも、ドル安を進行させ長期金利を低下させてきている。梯子を外されると一時的な反動があるかもしれない。しかし、今後も追加緩和の可能性を匂わすことで、市場の期待を継続させ実際の緩和効果と同様の効果をもたらす可能性もある。
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by nihonkokusai | 2010-08-09 09:21 | 日銀 | Comments(0)
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