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「長期金利が1%割れに」

日本の長期金利が2003年以来7年ぶりの1%割れとなった。2003年6月に長期金利は0.430%にまで低下した。このときの長期金利の低下要因は、日本のデフレの長期化観測が根幹にあり、その上、欧米でもデフレへの懸念が強まったことで金融緩和期待から長期金利が低下し、それが日本にも影響を及ぼした。つまりは今回の日本の長期金利低下の背景と酷似している。

ただし、2003年の際の長期金利低下には銀行のリスク管理手法に大きく影響を受けた。長期金利の低下、つまり国債価格の上昇の際には大きな価格変動を伴わなかったこともあり、リスク許容度が増加したことから金融機関の国債保有が大きく増加し、デュレーションが長期化した。みんなで買えば怖くないといった状況となり、行き過ぎたと思った際には今度は売り手一色となってしまい、急落を招いたのである。

この急落を佐野一彦氏は「VARショック」と名付けた。この「VARショック」の経験もあってか、今回の長期金利の低下の動きは慎重のようにも見える。しかし、結果として銀行などの買いにより、長期金利が1%割れとなり、再び2003年の債券相場の急落が頭をよぎる。

2003年6月の相場の反落の際には、堅調だった米国債がFRBによる大幅な利下げ期待の後退で売られたことや、米国株式の上昇を受け日経平均が9000円台に乗せるなどやや外部環境が変化したことがひとつの要因となっていた。

また、当時も超長期ゾーンに対しての投資層が拡大し、都銀ばかりか地銀なども参入してきていた。相場がほぼ一本調子の上昇であったことで、証券会社などの業者も在庫を抱えてもヘッジをすることが少なくなってきた。つまりそれだけ先物のヘッジ機能が失われつつあったと思われる。国債の入札時なども、とりあえずノーヘッジで問題はなく、むしろヘッジをかけたときの損失の方が気になるくらいであった。まさに総強気が蔓延していた。

実はこういったときが一番危険だということは、相場を長く経験していた者ならば理解できよう。ただ、それでも流れに乗るためには、当時も今回も買うしかなかったのも事実である。気をつけるべきはそのターニングポイントである。

2003年6月の相場の際のターニングポイントは17日の20年国債の入札であった。20年国債の利率が0.8%にまで下がり、大手生命保険が買いを控えていたことがわかり、これをきっかけに相場は急落したのである。

今回の債券相場の上昇には、さほど過熱感もない。しかし、1%割れとなったことで相場上昇が仮に加速されるような結果となった際には、2003年6月の際と同様のことが起きる可能性も意識しておく必要がある。
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by nihonkokusai | 2010-08-04 10:10 | 債券市場 | Comments(7)
Commented by リージョナルバンカー at 2010-08-04 15:02 x
「日本国債先物入門」を買ってこのサイトに出会うことが出来ました。今週が盆休みなので毎日拝見しております。さて、1%割れした日本国債の事ですが、
今後もこの基調が長く続くとは私も思っていません。
いつかの時点で許容範囲を超えた金利上昇があると思っています。
そこで質問ですが
その時の原資となるのが外為準備金だと思うのですが
その準備金、いくらの額まで出動可能なのかと言う事です。100兆円ある準備金を使って国債を買い支える事が可能なのでしょうか?
万が一日本国債が暴落したときに米国債の事まで
考える必要があるのでしょうか?
宜しくお願い致します。
Commented by nihonkokusai at 2010-08-04 15:46
外貨準備金は国債を買い支えるために存在しているものではないため、仮に急激な長期金利の上昇が起きた際に、それにより国債を買い支えることはありません。この場合に想定されるのは、日銀による国債の買い支え、財政法で禁じられている直接引き受けとなる可能性はあります。

日本の長期金利の急激な上昇により、日本の投資家が保有している米国債の売却も想定され、1998年末からの運用部ショックの際のように米国から懸念が示される可能性があります。しかし、日本国債の暴落の状況次第ですが、今回はそこまで考えている余裕はないのではないかと思います。

Commented by リージョナルバンカー at 2010-08-04 16:16 x
早速のご返事大変ありがとうございます。

「外貨準備金は国債を買い支えるための存在ではない」
というのは
「為替を一定の金額で維持させる」為の存在という意味でしょうか?
何だかごちゃ混ぜになりましたが
国債暴落→円暴落→準備金による買支え
という構図にはならないのでしょうか?
そうなった時の準備金の出動可能額との意味で。

「日銀による国債の買支えの可能性」
とありますが、そうなった時の財源は?
逆にインフレ懸念の影響は?
そういったことが素朴に懸念されますがいかがでしょうか?
お忙しいでしょうが宜しくお願い致します。


Commented by nihonkokusai at 2010-08-04 17:20
ご指摘のように、日本国債が暴落した際には、同様の信用力を持つ円も売られることが想定されます。その際には円買いドル売り介入が想定されますが、そもそもこれまでの円売りドル買い介入の際の資金がFB発行という借金により捻出されており、政府による長期国債買入のための資金とするにはやや無理があるように思うのですが。

日銀の国債の直接引き受けは、いずれインフレを招くことは必然と思います。
Commented by keiko at 2010-08-05 08:22 x
藤巻健史氏によれば、国債暴落のきっかけは、ヘッジファンドによる先物売りから始まるとのこと。シンガポールやロンドンの先物市場で真夜中に売り崩しが一斉に始まった場合、政府の対応方法は決まっているのですか?日銀や政府が会議を開いて対処法を検討する間にパニック売りは進行し、24時間で第二の敗戦日を迎えることになると思いますが。
Commented by nihonkokusai at 2010-08-05 09:40
果たして、国債暴落のきっかけがヘッジファンドの売りになるのかどうか。これまでも、ヘッジファンドは幾度となく、日本国債への売りを仕掛けて着ていたようですが、結果として失敗に終わっています。

それよりも国内投資家が買わなくなったときのほうが、インパクトは大きいはずです。2003年6月の相場急落など、良い例ではないでしょうか。

海外市場で円債先物が急落しても、財務省は注意はしてもすぐに何かしら対処等はしてこないと思います。翌営業日の東京市場動向を確認し、特に国内投資家の動向をみてからでしょうね。本日アップしたブログにも書きましたが、2003年7月の10年債入札日の相場急落後の某投資家の買いなどは、相場下落時の反応というかある意味対処法のひとつとも考えられます。大手機関投資家と書きましたが、あくまで憶測の域は出ないものの、日本で最大の金融機関が動いた可能性がありました。
Commented by 348ts at 2010-08-05 12:08 x
>日本で最大の金融機関が動いた
見当違いでなければいいのですが、、、
ゆうちょですよね。
世の中、普通のまともな人は民営化すべきといいますが、あるいみもっともではありますが、事ここにいたっては、国債暴落の最後の防波堤として機能させざるを得ず、不本意ながら、国有化を維持していかざるを得ないと考えます。
亀ちゃんもこういう深謀遠慮でゆうちょ問題を提起すれば尊敬の対象となったのですがw
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