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「外山日銀金融市場局長のインタビュー記事」

5日に日銀の外山金融市場局長のロイターとのインタビュー記事の内容が短期金融市場や債券市場に一時的ながら影響を与えた。

ロイターとのインタビューの内容 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-16139720100705

特に東京銀行間取引金利(TIBOR)について「実勢レートに比べると、相応のかい離がある」との認識を示したことが伝わると、ユーロ円3か月金利先物相場が上昇した。これを受けて先週末比マイナスとなっていた債券先物は一時前週末比8銭高の141円68銭まで買われる場面があった。

外山局長の発言は、TIBORを呈示している銀行(リファレンス・バンク)に向けて、呈示レートを引き下げるべきことを示しているとも受け止められ、つまりは金利低下を促す発言と捉えられたことから、金先や債先の買いを誘ったかたちとなった。

この部分のインタビューの内容を見ると下記のようになっている。

「日銀は市場からサンプル的に聴取しているユーロ円の実勢レートに比べると、相応のかい離があるレートになっているのは否定できない。その背景については、金融機関の貸出の基準金利として対応されているといったようなことが、現在の低金利局面において、提示レートを下げにくくしている大きな背景になっているのではないか」

「邦銀は預金でほとんどの資金を調達しているということで、市場性の資金に依存する程度は極めて低い。マーケットのレートと預金金利が十分開いているというような局面においては、信用リスクプレミアムや経費、収益の上乗せ部分を市場金利と預金金利との差によって十分カバーできるが、金利が低下してくると預金金利をそれ以上下げるのは難しくなり、その差が十分取れないということになる。したがって、信用リスクプレミアムや経費、収益を確保しようとするとどうしてもTIBOR自体を実勢のマーケットレートよりも高く提示するという金融機関の判断が働くのかもしれない」

つまり、TIBORが金融機関の貸出の基準金利として対応されていることで、すでに超低金利下にあって預金金利の引き下げが困難となり、銀行の収益源となる貸出金利と預金金利の利鞘が小さくなってしまう。このためTIBORを呈示しているリファレンス銀行は、利益とともに必要経費をカバーするためにTIBOR自体を実勢のマーケットレートよりも高く提示しているのではないかとの見方を外山局長は示した。

この上で、外山局長は下記のような発言をしている。

「TIBORあるいはLIBORが実勢の取引レートからかい離していると、他の市場のレート形成にもゆがみをもたらしかねない。したがって、市場機能の観点からすればTIBORが適切に形成されることを期待したい」

確かにスワップ取引などに影響を与える可能性はあるものの、外山局長も指摘していたようにこのTIBORの割高とみられる部分は、ある意味、超低金利政策の弊害でもある。しかし、仮に日銀が適切とみているTIBORレートに誘導するとなれば追加の資金供給策が必要となるが、それはそれで銀行の利鞘をさらに縮小させてしまう結果ともなる。

実際のTIBORレートは徐々に下げつつあったこともあり、今回の外山局長の発言内容は市場ではサプライズと受け止められた。しかし、これにより日銀がTIBORレートに誘導する政策を取ることも考えづらい。超低金利下にあっての銀行の事情は理解しており、あくまで「市場機能の観点」からの「期待」にとどめているのではと見ておくべきであろう。
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by nihonkokusai | 2010-07-07 11:30 | 日銀 | Comments(0)
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