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「財政運営戦略」

平成22年6月22日に閣議決定された「財政運営戦略」について確認してみたい。http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/100622_zaiseiunei-kakugikettei.pdf

基本的な考え方の「経済・財政の現状」で、財政状況が深刻さを増してきているにもかかわらず、改善を先送りできた理由として長期金利が安定していたことをあげている。その長期金利の安定の背景として、「豊富な国内貯蓄の存在や、長引くデフレ・景気低迷を反映した企業部門における資金需要の減少、家計・銀行・公的セクターなどによる国内における安定的な国債保有構造といった、我が国独特の要因」を指摘している。

「こうした環境にいつまでも安住していられるわけではない」ともしており、「高齢化による貯蓄率の低下というマイナス要因」や「今後景気の回復が続けば、設備投資の活性化等により、企業部門の資金需要は回復」し、それが長期金利上昇要因となることを指摘している。

ただし、一番リスク要因はこれらよりも国債残高をカバーできる国内資金には限度があり、そこに接近しつつある点でなかろうか。そこを見逃すべきではない。

「我が国財政は、税収が歳出の半分すら賄えず、国及び地方の長期債務残高も今年度末には対GDP比181%(うち普通国債、地方債、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の合計である公債等残高は171%)に達し、OECD の統計においては純債務残高も本年末にはGDP比で100%を超え、さらに、これらは拡大し続けると見込まれている。」

このあたりの数字は日本国民としては常に頭の片隅に置いておく必要があろう。

「このような状況を放置して、ギリシャ等のように、国債市場における我が国の信認が失われ、その結果、金利が大きく上昇し、財政が破綻状態に陥るようなことがないようにしなければならない。仮に、そのような状態になれば、言わば国としての財政自主権が失われ、また、社会保障等の公共サービスの水準が大きく低下し、我が国経済や国民生活に多大な悪影響が生じることとなる。」

日本の世界経済に占める位置を考えれば、日本の財政破綻による影響はギリシャ問題などの比ではなかろう。さらに日本国債が国内資金でそのほとんどをカバーされているという特殊事事情を考えれば、日本国債への信認失墜は国内金融・経済に破壊的な影響を与えうる可能性がある。国内の金融資産が円資産から海外資産へ急激にシフトするとなれば、国債と同等の信用度となる円の失墜にさらに追い打ちをかけてこよう。「多大な悪影響」はかなり深刻な影響となる可能性がある。

「しかし、悲観する必要はない。国債市場から強制されることなく、我々が自主的に対応できる今のうちに、なぜこれまで我が国の経済が低迷し、財政の悪化が続いてきたのか、その原因を正確に把握し、政治の強いリーダーシップによって改革に取り組めば、我が国は十分に立ち直ることができる。まだ間に合うし、間に合わせなければならない。」

今まさに必要なのが、改革する意思と実行力である。しかし、改革に時間がかかればかかるほど、本当に間に合うのかどうか疑問である。実際に政府の出した目標は本当に間に合わせようとしているのかどうかも疑問を感じるものとなっている(続く)。
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by nihonkokusai | 2010-07-05 18:44 | 国債 | Comments(0)
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