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「ECBによる国債買入策に対する不胎化政策」

 9日に欧州中央銀行(ECB)は国債の流通市場に介入することを発表し、5月10日からドイツやフランス、イタリアの中銀などが、国債買入を実施した。1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が国債の買入を実施するのは初めてとなる。

 この国債買入は、金融政策の一環としての資金供給手段としている日銀の国債買入とは目的が異なり、国債市場の安定化そのものが目的となっており、極めて異例であった。トリシェ総裁は債券購入については圧倒的多数が支持したとして、反対者がいたことを認めた。ECB理事会の票決の内容を公表すること自体も極めて異例のことであった。

 欧州中央銀行(ECB)は今回のユーロ圏での国債購入額が165億ユーロになったことを明らかにした。市場ではもう少し大きな規模の国債を買入たのではないかと予想していたようだが、165億ユーロは日本円で約1.8兆円となり、日銀による毎月の国債買入規模と同規模となる。

 今回のECBによる国債の買入目的は、日銀のように市場への資金供給が目的ではなく、あくまで市場機能の正常化が目的であった。そこで、金融政策への影響を避けるために、国債買入で放出した資金を回収する手段を講じる。

 5月18日に同額の資金を吸収するため、1週間物定期預金の入札を実施する。これはいわば国債買入策に対する不胎化政策とも言える。1週間物定期預金の金利は最高で1%、ターム物預金はユーロシステム内のオペの担保として使用できる。

 ECBは国債買入とともに同額規模の資金吸収により、インフレ懸念が台頭することを押さえ込もうとしたものとみられる。これには筋金入りのインフレファイターと言われるウェーバードイツ連銀の総裁の意向などが強く働いた可能性もありそうである。

 日欧米の中央銀行による国債買入の目的はそれぞれ異なる。日銀による国債買入は資金供給手段のひとつである。イングランド銀行の国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。FRBについては、国債買入は信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的としている(2009年5月の水野前日銀審議委員の講演より一部引用)。
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by nihonkokusai | 2010-05-18 14:44 | 国際情勢 | Comments(0)
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