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「ECBの国債買入」

 9日に欧州中央銀行(ECB)は国債の流通市場に介入することを発表し、ドイツやフランス、イタリアの中銀などが、国債買入を実施した。1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が国債の買入を実施するのは初めてとなる。

 この国債買入は、金融政策の一環としての資金供給手段としている日銀の国債買入とは目的が異なり、国債市場の安定化そのものが目的となっており、極めて異例。ECBとしてもなかなか苦渋の決断であったかと思われる。

 以前に前日銀審議委員の水野温氏氏は2009年5月の「最近の経済情勢と中央銀行の政策対応」という講演の中で、リーマンショック後の対応策として主要中央銀行が行なった国債買入の狙いについて述べている。

 イングランド銀行の国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。また、FRBについては、国債買入は信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的としている。

 これに対して、ECBに関してはユーロ圏諸国の国債買入に慎重であるとし、これはユーロ圏には、財政規律の重要性等が明記された「成長安定協定」が存在し、財政政策との役割分担を明確にしているためと水野氏は指摘していた。

 昨日のブルームバーグのインタビューでECBのトリシェ総裁は、4日のリスボンでの政策委員会では債券購入を協議しなかったことを明らかにした。しかし、週末に政策委が電話で協議し、金融市場が機能不全に陥り、正常な市場機能を回復させる目的で、介入することを決めたと発言している。

 これはつまり、6日のダウ平均株価が一時1000ドル近い下げとなるなど、欧州の財政問題による金融市場の混乱は米国市場などにも大きく影響し、リーマンショック時のように金融システムそのものを揺るがす懸念も強まってきた。

 このため、G7の財務相が週末に電話会談をするとも伝えられたが、特に米国などから欧州に対しての対応策が求められ、それがEUによる最大7500億ユーロ規模の緊急安定化基金の設立とともに、ECBが国債の流通市場に介入することを決定した背景にあると思われる。

 また、トリシェ総裁は、ECBの独立性について、われわれは完璧な独立性を強硬に堅持していると発言したが(ブルームバーグ)、国債の買入については、レーン欧州委員の口から発表されたことをみても、かなり政治的な配慮が意識されての決断であったと思われる。 

 さらにトリシェ総裁は債券購入については圧倒的多数が支持したとして、反対者がいたことを認めた。ECB理事会の票決の内容を公表すること自体も極めて異例のことであり、今回のECBなどによる対応策はまさに異例尽くしとも言える。
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by nihonkokusai | 2010-05-11 09:56 | 国債 | Comments(0)
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