「財政健全化の目標」
政府は今年6月ごろまでに、2011年度から3年間の複数年度予算を視野に入れた経済財政運営指針の「中期財政フレーム」と、中長期の財政健全化の道筋を示す「財政運営戦略」を策定する。ただし、「中期財政フレーム」に長期の財政健全化目標をどのよう反映させるかに関しては明言を避けた。
仙谷国家戦略相は「長期債務残高を対GDP比でどのくらいのところに当面抑えていくのか。そういうのが中心にならざるを得ないのではないか」と述べ、「何らかの数値を書かないといけない」との意向を示し、具体的な数値目標を出すようである。
財務省によると国と地方を合わせた長期債務残高は10年度末に862兆円と対GDP比で181%に達する見込み。
民主党政権では、国家戦略室が1月以降「中期的な財政運営に関する検討会」を定期的に開催し、3月末をめどに論点整理を公表する予定。ただ、戦略相は来年度予算編成に当たり、「どういう財政収支やどれくらいの大きさの財政フレームを考えるかは、まだまだ慎重に見極めてなければならない」とインタビューで指摘している。
仙谷戦略相は、深刻な財政危機で信用リスクに直面しているギリシャなどは経常収支赤字国であると指摘しており、国債金利上昇の「一番大きな要因は、日本の経常収支がどういうふうに動いているかをマーケットは見ている」こととし、「そういう観点からみると、急騰するリスクは今のところ、割と少ないのではないか」との認識を示した。
同相はさらに、海外の投資家が円や国債先物を売買する際、他の通貨や金融市場との関係が「一番のポイントだ」とし、欧米諸国の経済状況は日本のバブル経済崩壊後と同じように「そうそう簡単にバランスシート調整はつかない」と述べた。その上で、相対的に円資産の価値が一方的に低下する可能性は小さいとの見方を示唆した。
また、読売新聞によると、菅財務相は参院財政金融委員会で「財政健全化の道筋を法律という形で国会で議論してもらうのも一つの道かなと考えている」と述べ、財政健全化法案を検討する考えを示した。