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「日銀の審議委員人事と市場との対話」

 政府は3月12日に日銀の審議委員に前東京電力副社長の森本宜久・電気事業連合会副会長を起用する人事案を衆参両院に提示した。衆参両院の同意を得れば7月1日付で就任する。

 今月末に、水野前委員の後任として宮尾龍蔵神戸大経済経営研究所長が就任することで、7月1日からは金融政策を決める政策委員は定数の9人が揃う 政策委員の新体制は産業界出身3人(中村清次氏、亀崎英敏氏、森本宜久氏)、学識経験者3人(西村清彦氏、須田美矢子氏、宮尾龍蔵氏)、日銀出身2人(白川方明氏、山口廣秀氏)銀行1人(野田忠男氏)の構成になる。

 福井前総裁の任期満了にともなう日銀総裁人事を巡る問題をきっかけに、長きに渡り続いた政策委員の欠員がこれでやっと埋まることは歓迎したい。ただし、今回の人事により、市場に通じているストラテジストなどが起用されなかったことはやや気掛かりである。

 現在の日銀の金融政策において最も重視されるべきは市場との対話であろう。その金融市場に携わった関係者は、銀行出身の野田委員と日銀出身の白川方明総裁と山口廣秀副総裁ということになろうか。

 しかし、前任の水野温氏氏のように直接に金融市場、なかでも債券市場に関わりのある委員が存在しないこととなる。

 日銀の金融政策とは短期金利を操作することにより長期金利などに働きかけることを目的にしているはずである。また、今後は財政悪化による債券市場動向などが金融政策に影響を与えることも多くなると思われる。その際の日銀の舵取りには市場との対話も欠かせないものとなり、それには債券市場の動向などにも精通した委員の存在が欠かせないのではなかろうか。

 債券市場など金融市場は突如として大きな動きを示すことがありうる。1998年の運用部ショック後はその価格変動リスクは抑えられてきてはいる。デフレ下にあり国債管理政策が機能しているからと言っても、このまま市場が大人しくしていることの方がむしろ考えづらい。

 景気判断等には産業界出身の委員の存在は欠かせないであろう。また、当然ながら学識経験者の存在も重要である。さらに日銀出身者が入ることも必要と思う。しかし、ここに債券ストラテジストなど金融市場の直接関係者の存在もやはり必要であり、加えて民主党は反対しているが国の財政に精通している財務省出身者も加わったほうが議論は深まるはずである。

 どうも今回の日銀の審議委員人事は、やや産業界と学識関係者に偏り過ぎていることが、今後の市場との対話、特に国債市場との対話において気掛かりである。
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by nihonkokusai | 2010-03-16 10:26 | 日銀 | Comments(0)
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