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「アリとキリギリス」

 財務省のホームページに2月6日の「菅財務大臣記者会見」の概要がアップされた。

 財政の問題については菅大臣は、「日本は間違いなく債務残高ではオリンピックであれば金メダルが取れるぐらいの立場にあることはご承知の通りです」と発言し、世銀の増資などの資金的拠出もそう簡単ではないことを示したそうである。しかし、オリンピックを控えているとは言え、金メダルとの表現はいかがなものであろうか。

 また、日本の財政状況について、「日本の状況はきちんとお伝えをしました。率直に言って、もっと話題になるのかなと思いましたが、どちらかと言えば、ヨーロッパのほうで問題になっているギリシャの問題が多く色々と意見交換されまして、結果として日本の財政赤字そのものを問題にする意見というか、やり取りは殆どというかありませんでした。」

 これは日本の財政への他のG7諸国の関心の低さを示しているのか、それとも日本の財政の話題が出なかったことでそれほど懸念されていないことを示したかったのか。

 「今、来年度予算の国会審議をやっておりますけれども、もちろん年度内成立を目指しているわけで、年度内成立、その前に衆議院を通さないといけないわけですが、衆議院の通過という、それぞれのハードルを越える中ではですね、そうした中長期の展望を今年の半ばには出せるような一つの準備に入りたいと、このように考えています。」

 この発言内容を見る限り、菅財務大臣が日本の財政再建に向けて本気で取り組もうとしているのかやや疑問である。「中長期の展望を今年の半ばには出せるような一つの準備に入りたい」という表現は菅さん独特の言い回しなのかもしれないが、これでは、とりあえずやっては見るけどといった対応にしか感じられない。

 日本の財政は確かに「今そこにある危機」ではない。しかし、まだ余裕があるうちに手を打っておかなければ、あとで取り返しがつかなくなる。冬の準備を怠らないアリと、なんとかなるさと気軽に構えたキリギリスの話を思い起こしてしまうのだが。
by nihonkokusai | 2010-02-10 10:00
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